2023 Fiscal Year Research-status Report
革新的な多機能CLTの開発 - 高耐火・高断熱の外壁部材-
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23K13442
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鷹野 敦 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (70778092)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 直交集成板 / CLT / 耐火部材 / 断熱性能 / 木質部材 / 多機能CLT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では今後需要の拡大が予想される直交集成板(CLT)に着目し、その多機能化の手法を開発する。CLTが厚手のラミナ (挽板)の積層であることに着目し、異なる樹種や加工・改質を加えたラミナを組み合わせることで、構造強度に加え耐火・断熱・調湿・美観等の性能を高めた、次世代の多機能CLTを開発することを最終目標とする。 2023年度は、木質部材の最大の課題である「耐火性能」と、利点である「断熱性能」の向上に焦点を当て、異種ラミナの燃え止まりの特性把握を目的に1時間耐火・高断熱純木質CLTの加熱試験を実施した。 これまでの実験結果から、炭化コルク(コルクの樹皮部分を蒸し焼きにして炭化させたボード材)の遅燃性と燃え止まり(自消)性能に着目し、材の燃焼実験を実施した。結果として、スギ材と同等の燃焼性能であることが明らかとなったが、炭化コルクの高い断熱性能と合わせて考えることで、独自の燃え止まり方の可能性を仮定した。その仮説に基づき、炭化コルクを燃え止まり層に用いて、その部分と表面の燃え代層の厚さをパラメーターとした6体の試験体を製作し、加熱実験を行なった。燃え代層と燃え止まり層の厚みが一定の関係の場合、炭化コルクの高い断熱性能により、加熱時に構造層への熱の移動が抑制され、燃焼終了後、構造層表面の温度が100℃以下に停まれば、構造層が損傷を受けず、炉内の温度低下に従い炭化コルクが自消することが確認された。 今年度の研究の成果は、2023年度日本建築学会九州支部研究発表会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って概ね順調に進行している。 2023年度は小型試験体での比較検証を優先し、当初予定していた中型試験体は2024年度に実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
小型試験体による検証により、異種ラミナの燃え止まりの性質について一定の知見を得た。ただし、実験に用いた小型炉は実大試験炉と条件が異なる部分もあるため、2024年度は試験体のスケールをあげて検証を行う予定である。また、加工ラミナを用いた部材の1時間耐火性能の確保についても、小型試験体による検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2023度は小型試験体による実験に注力し、中型試験体による実験を翌年度に持ち越したため、その製作に要する物品日も繰越となった。繰り越した予算は2024年度の実験実施に使用する。
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