2023 Fiscal Year Research-status Report
開発と風致保全を統合する都市景観整備施策の歴史的展開
Project/Area Number |
23K13466
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷川 陸 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (70968528)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | 風致 / 景観 / 都市計画 / 公園 / 河川改修 / 歴史的風土 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の成果として、風致地区制度導入以前・以後の治水政策と風致保全の両立の実態と、まちなみ整備の資料調査を進めた。京都と奈良、兵庫を中心に資料の分析を行った。成果の一部として、「大正期京都北郊における大典記念博覧会の「遊園」構想と鴨川鉄道計画」土木史研究講演集(Vol.43、pp.39-48、2023)にて発表を行った。同論文は追加の資料調査を終え、査読論文として発表予定である。 1)京都府では、風致地区制度設立以前から北部を中心に市街地の形成の計画が立てられ、公園緑地や河川、住宅地、道路等の一体整備が図られたことが明らかになった。また、その実現においては、現代の官民連携手法の先駆けともいえるような民間参画の方法が取られたことや、神社や水利、眺望といった既存の風致を最大限に活用した計画が立てられ、後の風致地区指定の基礎となったことが明らかになった。 2)風致地区制度の導入後については、第三者機関である風致委員会が設置され、国と府市との協議体制が構築されたこと、また、風致地区制度に基づく指導・協議プロセスよって、治水と風致を両立するような設計変更が行われたことを明らかにした。 3)歴史的まちなみの整備については、兵庫県におけるまちづくり会社の取組みと、奈良町の景観形成地区内での自主条例の取組みを明らかにした。奈良町では、行政担当者の和風デザイン指導によって、伝統的な町並みに調和する建築物が創出され、町並みの連続性の保全が図られたことを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、風致地区における建築物の和風デザイン指導に関する資料調査、戦後の古都保存やまちなみ整備に関する資料調査を中心に行った。成果の一部を「大正期京都北郊における大典記念博覧会の「遊園」構想と鴨川鉄道計画」土木史研究講演集(Vol.43、pp.39-48、2023)として発表した。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、風致地区以前の京都の河川改修にみる一体的な景観形成、宇治の公園都市構想と風致地区の制度運用の連続性、奈良町のまちなみ景観保全・整備手法とその効果、について発表と論文執筆を進める。
|
Causes of Carryover |
研究調査段階において、新事実が明らかになり、これを利用して新たな研究成果を得るため、予定を一部変更して追加調査を行い、予定していた研究計画が一部変更となったため。
|