2023 Fiscal Year Research-status Report
レゾルベント解析に基づく空力騒音の現象解明と制御則構築
Project/Area Number |
23K13492
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
小澤 雄太 青山学院大学, 理工学部, 助教 (10898290)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 空力騒音 / ジェット噴流 / レゾルベント解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
流れ場の安定性解析の1つであるレゾルベント解析には,数値解析により得られる流れ場の全物理量が必要であり,限られた物理量しか計測できない実験単体での実施は不可能である.そこで本研究では,実験と数値解析双方の長所をもつデータベースを構築し,騒音源となる流体変動の抽出や低騒音化を実現する制御則構築に取り組む. 本年度は超音速噴流から発生する空力騒音を対象として,実験データの取得とデータ同化手法の構築を行った.実験においては,マッハ数が1.2~2.0の適正膨張噴流に対して粒子画像速度計測(PIV)を実施し,各マッハ数における高解像度流速分布を取得した.実験で計測された流速分布から,超音速噴流のポテンシャルコア長さやせん断層の成長率などの基本的な特徴量を抽出している. 次に,得られた実験データと良く一致する数値解析データを取得するため,観測値をモデルに組み込んで予測精度を向上させるデータ同化手法を,レイノルズ平均ナビエストークス方程式(RANS)解析に組み込んだ.比較的容易に組み込みが可能であるアンサンブルカルマンフィルタをデータ同化手法として採用し,RANS解析の乱流モデルにはShear Stress Transport(SST)モデルを採用した.実験データを観測値としてSSTモデルのパラメータをデータ同化により最適化することで,実験データと良く一致する数値解析データが得られることを示した.これにより,限られた物理量しか取得できない実験と,全物理量を推定できる数値解析を融合し,実際の物理現象をよく捉えたデータベース構築が可能となる.本成果は1件の国際学術雑誌に投稿し,掲載済みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,実験データ取得と並行してデータ同化手法の構築が完了したため,実際の物理現象をよく捉えたデータベース構築を進めている.騒音発生機構の解明やモデル化に必要となるレゾルベント解析においては,数値振動や境界条件の取り扱いに問題が生じたが,無反射境界の導入などにより解決済みであり,データ解析に適用可能な状態と考えている.以上から総合的に判断して,本研究はおおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
実験データの計測条件をさらに広げ,膨張状態が異なる超音速噴流の実験データを取得する.これに構築済みのデータ同化手法を適用し,より包括的なデータベース構築を行う. レゾルベント解析については,境界条件の取り扱いによる解析結果の影響を詳細に評価した後,構築したデータベースに適用することで,空力騒音の音源となる流体変動を調査する.特に騒音発生に寄与するレゾルベントモードをデータベース化し,超音速噴流の空力騒音モデル構築に向けた検討を進める.
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた計算機が安価になったこと,国際会議への参加回数が1回のみに変更されたために次年度使用額が生じた.円安と物価高の影響により,国際会議の参加費用増加が見込まれるため,今年度は旅費に充当する予定である.
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