2023 Fiscal Year Annual Research Report
展開膜上での高効率無線電力伝送の実現に向けた設計理論の構築と実験実証
Project/Area Number |
23K13493
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
有田 祥子 静岡大学, 工学部, 助教 (50800629)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 展開膜面 / 無線電力伝送 / 宇宙構造物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,磁界共振結合方式による中距離無線電力伝送システムを,宇宙機の分散構築型のモジュラー構造に適用するために,各モジュールの構造となる膜展開構造物上で高効率電力伝送を実現するための設計手法と評価を行うことである.無線電力伝送には,膜上に平面螺旋形状に印刷された電磁コイルを共振器として用いる.そして,研究目的の達成のための2つの内容は,①展開膜の変形と運動を考慮した中距離無線電力伝送システムの設計理論を構築すること,②中距離無線電力伝送システムを膜上実装し,伝送効率を評価することである.事業廃止までの間にこれら2つを実施した. ①については,展開膜上に生じ易い変形として膜のしわとたるみを想定し,運動としてモジュールの回転運動を想定して,伝送効率を計算する手法を提案した.しわとたるみについては,変形の形状関数を相互インダクタンスの計算式に導入することで伝送効率を計算可能とした.これにより,FEMでは計算できない大型膜コイルのしわやたるみについても,その伝送効率を計算することを可能とした.回転運動については,螺旋形状を変えた種々のコイルに対して回転角に対する相互インダクタンスを計算することで,伝送効率を低下させないコイルの形状を明らかにした.そして,②の実験によってこれらの設計理論が妥当であることを明らかにした.②については,アルキメデスの螺旋と矩形の螺旋の2種の形状で,巻き数を変えたコイルを作成し,ベクトルネットワークアナライザを用いて透過率を計測することにより,伝送効率を実験から求めた.膜コイルには実際にしわ,たるみ,回転変位を与え,①で得られた伝送効率との比較・評価を行ったところ,提案した設計理論と良い一致が得られ,高効率無線電力伝送システムの共振器の設計手法を構築できた.以上により,変形と運動を有する展開膜構造上での無線電力伝送システムの成立性を示した.
|