2023 Fiscal Year Research-status Report
ミクロな複雑系を無視しない高速なシナリオ選定のための社会シミュレーション
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23K13517
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
柿本 陽平 日本大学, 生産工学部, 助教 (90899494)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 社会シミュレーション / Multi-agent システム / 機械学習モデル / 最適化手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はマクロ複雑系が内在するミクロ複雑系を無視することなく、社会施策に関する諸条件からなる大量のシナリオに対して、高速に出力を得ることのできる枠組みを確立することである。構築した枠組みを用いることで、刻々と変化する社会においてどのような施策の組み合わせ、すなわちシナリオが社会にとって効果的であるのか、容易に調査することが可能となる.特に2019年に発生したCOVID-19 パンデミック以降、人流抑制やワクチン接種などの大域的な施策効果検証のための社会シミュレーションは重要性を増していることから、本研究では感染症が拡大した社会を事例として、研究を計画してきた。そこで本年度は、以下の1, 2に挙げる項目に重点を置き研究を進めた。 1.ミクロな複雑系における感染症の拡大を防ぐMulti-agent システム(MAS)の開発と効果検証を行った。具体的には飲食店などの施設において、施設の利用者が着座する座席を動的に制御することにより、施設内の全体感染リスクを低下させる着座モデルを開発しその有効性を示した。また、開発したミクロ複雑系における感染過程を再現する機械学習モデル構築のためのデータの蓄積も進めている。 2.マクロ複雑系におけるMAS の性能を評価するためには、実データとの比較が必要となる。本研究では千葉県習志野市で取得された携帯端末に紐づく位置情報データを利用して、実データとの比較を行う予定であるが、人々の性別や年齢などといった属性に対して欠損値が多数含まれており、そのままでは詳細な比較ができない。そこで携帯端末から取得された座標データのみに基づき、混合ガウスモデルを用いて対応する人物の属性を推定するための特徴量を生成した。さらに生成した特徴量を用いて機械学習モデルを構築することで、属性値を補完する手法を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マクロ複雑系に点在するミクロ複雑系におけるMAS の開発と有効性検証が完了しており、また、マクロ複雑系におけるシミュレーション手法の有効性検証を前提としたデータ構築に関する成果も得られたため、おおむね順調に進行しているものと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、1 で蓄積したデータを用いてミクロ複雑系の感染過程を高速に再現する機械学習モデルを構築する。さらに構築した機械学習モデルをマクロ複雑系に点在するミクロ複雑系に組み込むことで、大域的に感染症拡大を制御するための枠組みを開発する。また、2で開発した手法により補完された実データを用いて、開発する枠組みの有効性を示していく。
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Causes of Carryover |
大規模データを用いた実験のために、大容量RAMや並列処理に強いCPUの導入を検討していたが、本年度行った実験はデータの処理方法を工夫することにより、保有している計算機での実施が可能であった。一方で今後のシミュレーションではさらに大規模な計算を行う必要が出てくるため、残額分は計算機のアップデートに充当する計画である。また、本年度参加した国際会議がオンラインで開催されたことにより、参加費用が想定よりも安価に済んだことも理由として挙げられる。そのため、残額の一部は次年度の旅費もしくは論文掲載料に充当する計画である。
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