2023 Fiscal Year Research-status Report
発災からの時間発展に着目した東日本大震災における犠牲者情報分析
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23K13530
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
門廻 充侍 秋田大学, 本部, 講師 (80819673)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 発災からの経過日数 / 死因不詳 / 瓦礫 / 漂流者位置推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,以下の3つの実績を得た. 1)発災からの経過日数と死因の関係を検討した.死因の分類として,Seto and Imamura(2020)の12死因を採用した.発災からの経過日数は,遺体発見日と発災日(3/11)の差で定義した.その結果,溺死を含む11死因よりも,死因不詳の経過日数が遅い傾向が示された.また経過日数の四分位偏差に関する比較でも,死因不詳は11死因とは異なる特徴を示した. 2)発災からの経過日数と遺体発見場所タイプの関係を検討した.初期検討として,陸域の瓦礫から発見された犠牲者を対象とした.比較対象として,陸域の屋外で発見された犠牲者を採用した.比較した結果,屋外よりも瓦礫の経過日数が遅い傾向が示された. 3)海上漂流者を対象とした位置情報推定技術に関するレビューを行い,次の3つの機能が仕様として必要であることが明らかになった:①GPSを活用して対象者の位置情報を大まかに特定する機能,②GPSにより推定された位置情報を捜索側が閲覧できる機能,③捜索者が直接通信により漂流者の位置を特定できる機能.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,時間経過による死因への影響の観点で,発災からの経過日数と死因の関係を分析し,12死因の中で,死因不詳が時間的特徴を有することを明らかにできた.また,遺体発見場所タイプによる時間経過への影響の観点で,初期検討として,陸域の瓦礫から発見された犠牲者を対象とした分析を行い,屋外犠牲者よりも遅く発見される傾向を示せた.海上漂流者を対象とした位置推定技術の仕様も決定することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の実績を踏まえ,次年度は主に3つのテーマに着手する.1)遺体発見場所タイプに関する追加分析を行い,瓦礫以外の分類による影響を評価する.2)遺体発見場所に着目した分析を行い,時間経過の地域特性を評価する.3)漂流者の着用を想定したフローティング・ジャケットの検討を継続する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,フローティング・ジャケットの開発費を計上していたが,仕様決定が年度内に完了しなかったからである.また論文の校正費および論文投稿料は,今年度末までに投稿準備が完了しなかったため,計上しなかった. 使用計画として,フローティング・ジャケットの開発費,現在準備中の論文の英文校正費および論文投稿料に支出予定である.また,今年度の成果を中心に報告予定の学会参加費も支出予定である.
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