2023 Fiscal Year Research-status Report
変形により誘起されるデンドライトアームの溶断現象の実証研究
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23K13584
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鳴海 大翔 京都大学, 工学研究科, 助教 (20827448)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 凝固 / 鋳造 / デンドライト溶断 / 放射光 / 時間分解X線イメージング / 時間分解X線トモグラフィー/4D-CT / 三次元X線回折/3DXRD / 回折コントラストトモグラフィー/DCT |
Outline of Annual Research Achievements |
金属材料の鋳造プロセスにおいて、材料特性や生産性に影響を及ぼす鋳造欠陥および凝固組織の制御は工学的課題の一つである。金属合金の凝固過程に起きる現象の一つにデンドライトアームの溶断がある。デンドライトアームの溶断は、柱状晶-等軸晶遷移、単結晶成長時の欠陥となる異結晶成長、凝固組織の微細化に関係し、凝固組織形成に寄与する現象である。放射光を用いた時間分解X線イメージングにより、高温の固液共存域で金属合金デンドライトを変形すると、デンドライトアームが割れるように分断されて微細化する現象が見出された。本課題では、この変形により誘起されるデンドライトアームの溶断の機構を実証するため、固液共存域の金属合金デンドライトの変形過程における組織変化、局所的なひずみ速度テンソル、変形応力を時間発展で定量化することを目的とし、時間分解X線イメージング技術および解析プラットフォームを確立する。獲得した定量データに基づいて、液相共存下における固相の変形ダイナミクスの描像を理解し、デンドライトアームに適切な変形を加えて多結晶化・溶断・結晶粒微細化を行う新しい凝固組織制御の原理の提案を目指す。 2023年度は変形組織を評価するための時間分解X線トモグラフィー(4D-CT)+三次元X線回折(3DXRD)および回折コントラストトモグラフィー(DCT)の導入について検討を行い、既存の装置で即座に導入可能な4D-CT+3DXRDを用いてAl-Cu合金デンドライトが圧縮変形されると分断する様子がとらえられた。回折コントラストトモグラフィーは解析の面で難易度が高いことが明らかになったため、次年度において引き続き検討を進める。また、4D-CTにより得られた輝度分布を用いてひずみ・ひずみ速度マップ解析手法の検証も行い、2024年度から実施する本格的な測定に向けた準備が整っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4D-CTと3DXRDを用いたAl-Cu合金デンドライトの変形その場観察を行い、粘性的性質を示す融点直下のデンドライトが割れるように分断する様子を捉えた。また、ひずみ・ひずみ速度マップ解析手法の検証も済んでいる。当初の予定通りの進捗と言える。ただし、DCTについてはまだ検討段階であるため、次年度に持ち越す形となっている。以上を踏まえて進捗状況を評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はDCTの導入を検討し、それに合わせたX線イメージング装置の改造を行い、本格的な測定に着手する。また、検証を済ませたひずみ・ひずみ速度マップ解析を実際に測定したデータに利用することで、定量データの獲得を目指す。
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Research Products
(14 results)