2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K13616
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
榎本 航之 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 研究員 (50823556)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | コロイドナノ結晶 / 量子ドット / 半導体材料 / 超格子 / ペロブスカイト / 超周期配列 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロイド半導体量子ドット (CQD)超格子膜の創成および構造解析に取り組んだ。ホットインジェクション法により平均粒子径6.8 nmのCsPbBr3CQDを合成し、CQD超格子の作製を試みた。超格子の作製はディップコ ーターとソルベントアニーリングシステムを組み合わせて行い、基板親和性、分散液濃度、引き上げ速度等の条件を変更し、超格子の周期性に与える影響を調査した。また、マスフローコントローラにより溶媒や短鎖配位子の蒸気圧を調整し、溶媒種がCQDの配列状態に与える影響を調査した。TEM観察およびX線構造解析により超格子サイズ・配列様式・CQD間距離・CQD内部の結晶面方位を計測し、CQD配列の長周期性および配列様式に与える因子を調査した。結果、溶媒蒸気または短鎖配位子存在下で成膜することでCQD間距離や配列様式が制御できることがわかった。これは、CQDの集合と表面配位子状態の制御を同時に行ったことで達成された。CQDの集合という動的な過程における配位子交換(動的配位子交換)を成功した初の例である。 ImageJおよびpythonプログラムを用いて、画像処理によるCQD超格子の構造解析に取り組んだ。結果、配位角プロファイルおよび動径分布関数の抽出に成功し、詳細な構造解析が可能になった。本成果は、CsPbBr3CQDのみならず他のコロイド粒子の長周期配列および詳細な構造解析手法の一つとなりえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的の一つである、動的配位子交換によるCQDの超格子膜の配列制御を達成したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
確立した手法を用いて他の組成およびサイズの超格子膜の作製、異種混合超格子膜の作製に取り組む。また、得られた超格子の光学特性評価を行い、集合状態に起因した発光機構の解明に取り組む。
|
Causes of Carryover |
当初計画よりも進展があったため、当該結果を広く宣伝するために成果報告をする重要性が増した。また、本研究分野において非常に重要な国際学会(QD2024)で参加発表することで大きな波及効果が期待できると考えらため、前倒し支払い請求によって当該助成金が生じた。来年度は、確立した手法を用いて他の組成およびサイズの超格子膜の作製、異種混合超格子膜の作製に取り組む。また、得られた超格子の光学特性評価を行い、集合状態に起因した発光機構の解明に取り組む。
|