2023 Fiscal Year Research-status Report
トラップ電子を用いた金属担持光触媒の新規作製手法の開発と機構解明への応用
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23K13618
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
長川 遥輝 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教 (50968170)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 光触媒 / 電子トラップ / ナノ粒子 / 水素製造 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の研究では、光触媒の欠陥部に捕捉された電子による、金属ナノ粒子の析出プロセスに関する研究を行った。具体的には、可視光応答性光触媒の中でも研究例の多い、硫化カドミウム(CdS)をモデル物質として検討した。CdSは硫化物イオン欠陥部が電子を捕捉する電子トラップとして働く。本研究では、電子をトラップしたCdSの分散水溶液に金属イオンを添加すると、トラップされた電子がイオンを還元し、金属ナノ粒子が析出することを見出した(電子トラップ法)。この手法を用いると、従来広く用いられていた光析出法よりも高い分散性で金属ナノ粒子を担持できることが明らかになった。特に、水素生成反応に有効な助触媒である白金(Pt)ナノ粒子を析出させると、従来よりも高い効率で光触媒反応による水素生成が進行した。 また、光析出法と電子トラップ法では、金属ナノ粒子の析出における、結晶面選択性が異なることも明らかになった。光析出法では、表面エネルギーの高い結晶面で析出する傾向が示された一方で、電子トラップ法では、粒子全体で析出した。この結果から、CdS光触媒では、硫化物イオン欠陥が粒子全体に分布していると考察された。 さらに、CdS光触媒にあらかじめ欠陥を導入し、電子トラップ法で担持できる金属量を制御する手法を検討した。欠陥導入法としては、加熱、加圧、アルカリ処理を試行し、いずれの方法でも硫化物イオン欠陥量が増加することがわかった。欠陥を導入したCdSに対して電子トラップ法を用いたPt助触媒の担持を行うと、未処理のCdSに比べて析出量が増大した。 これらの知見は、欠陥を活用した新しい光触媒合成の可能性を示しており、既存光触媒の高活性化や、新規光触媒群の創出が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である、電子トラップの空間的分布の解明および、欠陥を活用した光触媒合成を5年計画の初年度で達成し、計画以上に進展していると判断した。しかしながら、現状では研究対象がCdS光触媒に限られており、より多様な材料への展開を予定している。加えて、電子トラップが関連する電荷移動プロセスについては、未解明の部分が多く、今後の更なる検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は開発した電子トラップ法や、欠陥評価手法をCdS以外の光触媒にも適用し、高活性を持つ光触媒の開発を進める。また、開発した光触媒について、反応中もしくは反応後の特性評価を行い、電子トラップが関与する電荷移動プロセスの知見を得ることを目指す。
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Research Products
(6 results)