2023 Fiscal Year Research-status Report
遷移双極子モーメントの配列・非配列の共存に基づく直線偏光発光材料開発の新戦略
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23K13620
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡崎 豊 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (20794465)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 直線偏光発光 / 遷移双極子モーメント / 秩序構造 / 配列制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は当初の計画通り、LPLフィルムの作製や各種光学特性(紫外可視吸収スペクトル、発光スペクトル、励起スペクトル等)評価などの実験科学的手法に加えて、基底状態の構造最適化や光吸収過程の遷移双極子モーメント調査などの計算科学的手法を並行して研究を進めた。具体的には、発光性ポリマーとしてMEH-PPVを用いて作製したLPLフィルムにおいては、第二吸収帯における光吸収過程の偏光度が、第一吸収帯における発光過程の偏光度よりも低いことや、第二吸収帯から第一吸収帯へと励起エネルギー移動が起きていることを明らかにした。さらに、計画を実施する中で、当初の想定とは異なる例「第二吸収帯を活用せずとも、光吸収過程における等方性と発光過程の異方性の両立が達成される例」が存在することを偶然発見した。 外部への研究報告については、学術論文5報および国内外の学会発表16件にて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、本研究の目的である「第二吸収帯を活用した光吸収過程における等方性と発光過程の異方性の両立を実現すること」に対して、当初計画していた項目は概ね達成した。 加えて、計画を実施する中で、「第二吸収帯を活用せずとも、光吸収過程における等方性と発光過程の異方性の両立が達成される例が存在すること」を偶然発見するという、当初の予定を上回る結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の研究計画に従い、作製したLPLフィルム中の発光性ポリマーが示す各光吸収帯における遷移双極子モーメントの配向度について、詳細評価を行う。また、本年度の研究を通して明らかになりはじめた「第二吸収帯を活用せずとも、光吸収過程における等方性と発光過程の異方性の両立が達成される例」について、新たなモデルを提案し詳細調査を並行して進める。
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Causes of Carryover |
論文投稿にかかる英文校正費用は別予算にて支出した。国際学会の宿泊費についても別予算にて支出したため、国内学会の宿泊費を中心に支出した。その他、直接経費の差し引きにより、結果的に7191円の次年度使用額が生じた。
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