2023 Fiscal Year Research-status Report
Study of protein folding pathway using laser fabricated nanopore
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23K13642
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
山崎 洋人 長岡技術科学大学, 産学融合トップランナー養成センター, 特任講師 (80786236)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ナノポア / 局所加熱 / 生物物理 / 熱的融解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、レーザー加工による極薄ナノポアに加えて、ナノポア計測と熱解析技術を融合したナノポアサーモスコピーを活用することで、タンパク質の折り畳み状態を精査し、新たな折り畳み原理・現象の解明を目指す。本年度は、モデルタンパク質シトクロムcの極薄ナノポア通過の電圧特性およびレーザー加熱場特性を精査し、印加電圧および温度によるタンパク質の構造状態を調べた。MDシミュレーションを活用して、印加電圧場でのモデルタンパク質であるシトクロムcの構造状態を解析し、詳細な波形解析結果と照らし合わせたところ、シトクロムcをレーザーエッチングにより加工した極薄ナノポアに通過すると、電場変性により、通過する前に最大1ミリ秒のトラッピング過程が存在することがわかった。一方で、高い構造安定性を有する緑色蛍光タンパク質では、トラッピング波形が見られなかったことからも、トラッピング過程は電場変性に起因することがいえる。更に、レーザー加熱を加えると、シトクロムcのナノポア通過頻度の上昇と、電圧印加のみよりも深い遮断電流が見られた。通過頻度の上昇は、COMSOLによる理論解析結果から、温度上昇に伴う電気浸透流の増加に起因することがわかった。また、深い遮断電流結果を調べるために、2つの異なる温度条件下で電場下でのシトクロムcのMDシミュレーションを行った結果、僅か500 nsec以内にシトクロムcの変性過程が起こることがわかった。xy平面とz軸における電荷密度とgyrationの解析から、シトクロムcの変性構造がz軸を介して揺らいでいることが明らかになった。したがって、MDシミュレーション結果から、レーザー加熱でシフトした遮断電流は、αヘリカル構造の変性に起因しており、このαヘリカル構造はナノポアへのドッキング中に柔軟に動き、ナノポアの浅い閉じ込め部分に到達し、その結果、深い遮断電流が生じることを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レーザー加熱場において、加熱による生体分子のナノポア通過波形の変化を観察することに成功している。更に、MDシミュレーションを駆使することで、この構造変化が起こる領域を究明することもできており、加熱場における特異的な構造変化が示唆できている点で評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
詳細な立体構造を解析するには、電流ノイズの低減が必要であるため、レーザー照射方法やチップ構成の最適化を実施する。また、トラッピング法が立体構造変化を観察する上で、有利な方法であることが明らかとなったので、トラッピング法とナノポアサーモスコピーを活用して、シトクロムc以外の生体分子の構造変化を調べることで、折り畳み原理に関わる知見の獲得を目指す。
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Research Products
(1 results)