2023 Fiscal Year Research-status Report
Transfer learning in the prediction of catalytic activity of photosensitizers
Project/Area Number |
23K13744
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
納戸 直木 名古屋大学, 学際統合物質科学研究機構, 助教 (20909949)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 機械学習 / 光反応 / 転移学習 / エネルギー移動 / 有機光増感剤 / フォトレドックス反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、当該研究課題に該当する研究としては、エネルギー移動型の光反応における有機光増感剤の触媒活性に関するデータベース構築と、これらの反応間における転移学習の有効性調査を実施した。具体的にはまず、8種類のエネルギー移動型光反応に対して、100種類の有機光増感剤の触媒活性を調査し、合計800データからなるデータベースを構築した。続いて、様々な手法や、ソースドメイン、ターゲットドメインとなるデータの組み合わせを精査し、転移学習の活用が予測精度に与える影響を包括的にまとめた。 結果として、転移学習を活用することで、より少数のデータを用いた場合であっても高精度な触媒活性予測が可能であることが明らかとなった。さらに、この予測精度の改善効果は「置換反応」や「付加反応」、さらには「異性化反応」など、有機化学的視点では全く異なる反応間でも成り立つことも見出した。 今回開発した手法は、有機合成研究における機械学習の実用可能性を高めるものであり、本研究課題の目標を達成したというに値する成果であると考えている。上記の内容に関しては、現在論文執筆中である。また現在では、光反応を専門とする研究グループや、計算化学を専門とする研究グループと協力して様々な面でのデータベース拡張にも乗り出している。このような共同研究を通して、エネルギー移動のみでなくフォトレドックス反応における転移学習の有用性や、計算値からの転移学習の有用性に関する調査にも取り組む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、エネルギー移動型の光反応に注目し、データベース構築と転移学習の有効性調査を実施した。結果として、予想以上に転移学習の有効範囲が広いというポジティブな結果や、有効なソースドメインの見極めが比較的難しいという課題など、多くの学術的知見を得ることに成功したと考えている。一方で、本研究は現在論文執筆中であり、論文投稿にまでは至っていない。そのため、今年度中に査読や改訂まで含めて論文投稿を完了させたいと考えている。 上記のように、現状論文投稿にまで至っていない点はマイナスポイントであるが、複数のグループとの協働による、より広範な光反応データベースの構築及びより大規模な機械学習研究への準備を進めるなど、当初の予定を上回る進捗を見せている部分もある。そのため、昨年度の進捗状況は「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
・本研究課題で当初目的としていた光反応における転移学習に関する研究はすでにまとまっているが、論文投稿には至っていない。 ・いくつかの研究グループと協力し、より広範な光反応データベースの構築に取り組んでいる。 本研究課題に対する申請者の現在の状況は上記のとおりである。今年度は、論文投稿を完了させるとともに、共同研究によるデータベース拡張とより包括的な転移学習研究にも取り組むことを目標とする。基本的な転移学習に関する調査の進め方はすでに確立しているため、転移学習に関する調査はデータベース構築が完了次第速やかに進められると考えている。また現在、量子化学計算ベースの仮想分子データベース構築なども進めている。転移学習には本研究課題で採用している事例転移以外にも様々な手法が存在するため、上記のようなデータベースを活用した他の転移学習に関する取り組みも進めていく予定である。
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