2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K13770
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平本 薫 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (40963038)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 電気化学発光 / 脂質二分子膜 / ハイドロゲル / 導電性ポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脂質二分子膜をセンサ界面に用いる生体模倣性のあるバイオセンサ技術の開発を目的としている。特に、生体膜の特性として重要である「流動性」と「曲率」に着目し、人工脂質二分子膜でこのような生体膜の特徴を再現することで、新しいバイオセンシング素子をつくることを目標としている。 今年度は、立体的な支持膜の作製方法として(1)電極基板への直接ゲル形成、(2)リソグラフィーを利用した微小立体構造への脂質二分子膜修飾を検討し、グレーリソグラフィーを用いた立体基板の作製を行った。また、導電性ポリマーであるPEDOT:PSSをElectrohydrodynamic(電気流体力学)ジェットを用いて吐出する方法について検討を行った。グレーリソグラフィーで作製した立体基板に対しては、電気化学発光による評価が進められたものの、導電性ポリマーおよびハイドロゲルを利用した立体基板作製に関しては微細構造を作製するための条件出しを行っている段階である。 一方で、平板の固体電極上での支持人工脂質膜の作製と評価の検討が進み、抗菌ペプチドの脂質膜への作用を電気化学計測によって評価できた。この研究内容については、国内学会(化学とマイクロナノシステム学会)および国際学会(電気化学会)で報告している。ただし、平板基板ではエッジ部分に脂質膜の欠陥ができやすく、電気抵抗が生体膜と比較して小さいことも同時にわかってきた。そのため、滑らかな接地面を有する立体基板を作製し、生体膜に近い電気抵抗および膜容量をもつセンサ界面を作ることが継続課題となっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度に採択された研究活動スタート支援のテーマである、脂質二分子膜の電気化学発光イメージング法の開発に時間を要したためハイドロゲルを利用した立体基板の作製に遅れが生じている。しかし、先の研究テーマで立ち上げた光褪色後蛍光回復法の測定システムや、電気化学発光イメージングシステムなど、本テーマに転用できる検出系は立ち上がっておりこのノウハウを生かして研究を推進できると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
ハイドロゲルおよび導電性ポリマーで作製した立体電極基板に対して人工脂質二分子膜のコーティングを施し、電気化学特性を調査する。並行して、電圧印加に伴う基板の膨張・収縮を評価できる計測系を導入し、膜の曲率や流動性のコントロール機構を開発する。 最終的に、脂質膜に対する膜タンパク質等の生体分子の導入を行い、その挙動をセンシングするためのシステムを立ち上げることを目標とする。
|
Causes of Carryover |
本年度の経費として電気化学測定装置を計上していたが、ソフトウェアのアップデートで既存の測定装置が使用できたため、代わりに電気化学発光測定用のカメラを購入した。残額は次年度に繰越し、電気化学測定装置の周辺機器で、現状精度不十分な物品(シールドや電極コネクタ)の整備に使用する。
|