2023 Fiscal Year Research-status Report
バイオマス資源のワンポット高効率変換を実現する反応空間制御型新規複合触媒の開発
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23K13787
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
山中 信敬 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 助教 (70868778)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | モンモリロナイトK10 / 反応空間制御 / バイオマス由来化合物 / フルフリルアルコール / レブリン酸アルキル / フルフリルアルキルエーテル |
Outline of Annual Research Achievements |
バイオディーゼル燃料添加剤としての利用が期待されているレブリン酸アルキル(ALs)は、ブレンステッド酸触媒を用いてバイオマス由来化合物のフルフリルアルコール(FFalc)と対応するアルキルアルコールから合成することができる。しかし、この際、FFalcの自己縮合反応が競争的に進行するため、ALsを高収率で合成する触媒の報告例は少ない。申請者はブレンステッド酸点周りの反応空間の広さが副反応誘起の原因と考え、アルミノシリケート層が作り出すナノ空間に水酸基を持つモンモリロナイトK10(Mont K10)に着目した。Mont K10をFFalcからのALs合成に用いたところ、これまでに報告されているブレンステッド酸触媒(無機酸、ヘテロポリ酸、陽イオン交換樹脂など)よりも遥かに高い収率で目的物を合成することに成功した。ハロイサイトとカオリナイトもまた層間に水酸基を持つため、これらを同反応に用いたところ、活性は劣るものの(活性はブレンステッド酸量と正の相関)、副反応の大幅な抑制が確認された。以上より、FFalcの自己縮合反応を抑制するためには、ブレンステッド酸点周りの反応空間を制御することが重要であることが明らかとなった。また、Mont K10を用いたFFalcからのALs合成の経時変化結果から、フルフリルアルキルエーテルが主な中間体であることが明らかとなった。この化合物はガソリン添加剤としての利用が期待されている。反応条件を詳細に検討した結果、既報の触媒よりも高い収率で合成することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モンモリロナイトK10の層間に存在する交換性陽イオンを多価金属イオンに交換した後、フルフリルアルコールとアルキルアルコールからのレブリン酸アルキル合成に応用し、触媒性能と酸性質の関係性を明らかにするところまでが今年度の研究計画であった。交換すべき多価金属イオンは残り1種類であるため、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、フルフラール(FFald)からフルフリルアルコール(FFalc)を経由してレブリン酸アルキル(ALs)をワンポットで効率的に合成する触媒プロセスの開発である。今後、FFaldからFFalcを効率的に合成する触媒を開発した後、FFalcからALsを効率的に合成した多価金属イオン交換モンモリロナイトK10と組み合わせることで、本研究目的の完遂を目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額208,973円が生じた理由は、当初の計画よりも物品費が少なく済んだためである。この未使用額は来年度の物品の購入に充てる予定である。
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