2023 Fiscal Year Research-status Report
一次元細孔での重合制御による二重鎖ブロックコポリマーの合成
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23K13788
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
亀谷 優樹 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (80909979)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | ポリマー / ブロックコポリマー / 二重鎖 / MOF / ラジカル重合 |
Outline of Annual Research Achievements |
ブロックコポリマーは二種類以上のポリマーをつなぎ合わせたポリマーであり、ミクロ相分離をはじめとする様々な特性・機能を示す。リビング重合により、これまで様々なブロックコポリマーの構造設計が報告されてきたが、合成の都合上、鎖が末端でつながった形式に限定的であった。そこで本研究では、異種ポリマー鎖が平行に並んで架橋された新しい形式のブロックコポリマー、「二重鎖ブロックコポリマー」の合成と物性探求を目的とした。 溶液中での反応ではポリマー鎖が自由に運動するため、二種類のポリマーを平行に束ねる形に架橋を制御するのは難しく、特別な分子設計が必要となってしまう。そこで本研究では、MOFの一次元細孔を反応場として鎖の運動を制限するアプローチで、二重鎖ブロックコポリマーの合成を検討した。 側鎖にモノマーがついたポリマーを合成し、コモノマーと共にMOFの一次元細孔に導入した。ポリマーは一次元細孔にそって引き伸ばされた形態をとり、その隙間がコモノマーで埋められていると考えられる。この状態でラジカル重合を行なったところ、側鎖モノマーとコモノマーの共重合が進行し、二種類の鎖がつながったポリマーが得られた。得られたポリマーの一次元NOESY測定では、異種鎖間で負のNOE効果が観測されたことから、二種類のポリマー鎖が非常に近接していることが確認された。なお、通常のブロックコポリマーでは同条件でNOE効果は観測されなかった。今後、さらなる構造解析を進めつつ、二重鎖ブロックコポリマーの物性評価も行っていく方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細孔内でのポリマーに沿った重合により二重鎖ブロックコポリマーを合成できた可能性が高いことを考えると、おおむね順調に進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は得られたポリマーの解析を進めるとともに、さらに進んだ構造設計も行う。通常のブロックコポリマーでは組成や鎖長が特性を決定づける重要な要素であるが、二重鎖ブロックコポリマーのような「束ねる形式のブロックコポリマー」では、これらの要素はそれぞれ本数比と架橋点間距離に対応すると考えられる。このあたりの設計可能性を開拓しつつ、物性解析も進める。
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Causes of Carryover |
今年度はコンセプト実証のため単純で安価なモノマー・ポリマーを用いて研究を行ったが、次年度以降は物性解析まで含めて研究を行うため、高価な試薬を使用したり大量合成を行ったりする可能性がある。その予算を確保するため繰越を行った。また、論文投稿に向けた予算を確保することも繰越理由である。
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