2023 Fiscal Year Research-status Report
高分子側鎖における変換反応を活用したアップサイクル手法の開発
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23K13790
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
久保 智弘 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (20871362)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 高分子反応 / アップサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
プラスチックの環境への流出が世界的な問題になる中で、汎用高分子を高付加価値物へと変換する技術の開発がこれまで以上に求められている。本研究では、高分子反応を用いた種々ポリマーのアップサイクル手法の開発を目的とする。具体的には、カルボニルの変換を基点とする高分子反応手法を探索し、得られる官能基の反応性を駆使することで、機能性高分子材料や特殊構造高分子といった高付加価値物を創出することを目指す。 これまでに、種々のポリマーを用いたカルボニルにおける変換反応を検討し、本研究課題の遂行で基盤となる高分子構造変換技術が達成できることを明らかにした。その中で、高分子構造と反応性の関係についての重要な知見を得た。より具体的には、高分子中のカルボニル周りの嵩高さが反応率に及ぼす影響を評価するだけでなく、低分子モデル化合物の反応性評価を通した最適条件の解明を進めた。その一方で、高分子反応においてわずかに副反応も進行していることが示唆されており、様々な条件で変換反応を行うことでの副反応の機構解明、及びその抑制について検討を続けている。 高分子構造変換を行うことで得られる官能基の反応性の評価も行った。これまでに、求核剤や金属塩に対しての高い反応性が観測されている。今回、その反応性を活用することによる高分子への機能付与について検討し、ラジカル機構により高分子鎖間で反応が進行し、本研究課題で1つの目標とした架橋構造が得られることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度において、予定していた高分子構造変換の基盤技術を確立した。加えて、高分子反応を通した機能付与についても一定の成果が得られてきている。一方で、副反応の機構解明といった次年度に取り組む課題を明確にした。以上から、順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、高分子反応において、副反応を引き起こさない反応条件の探索を行う。高分子の機能化については、初年度に見出した構造変換技術を基点とし、多様な求核剤を用いた高分子修飾を検討する。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた設備備品等の購入を見送ったためであり、使途を変更せず次年度に使用する予定である。
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