2023 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis of asymmetric polymer-brush-modified nanorods and formation of their ordered structures
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23K13801
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黄瀬 雄司 京都大学, 化学研究所, 助教 (00946676)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | セルロースナノクリスタル / ポリマーブラシ / 還元性末端 / 位置選択性 / 制御ラジカル重合 / 微粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、セルロースナノクリスタル(CNC)の片末端とその他の表面水酸基に位置選択的に異なる分子量のポリマーブラシを導入した微粒子(非対称的ブラシ付与CNC)の合成経路の開発に注力した。系統的な非対称的ブラシ付与CNCの合成のため、異なる活性化機構を有する二種の制御ラジカル重合性官能基が位置選択的に付与されたCNC誘導体(CNC二官能性開始剤)を起点とし、続くグラフティング-フロム法により逐次ポリマーブラシを導入する合成戦略を検討し、以下の成果を得た。 [1]CNCの片末端(還元性末端)にヘミアセタール構造が集積していることに着目し、還元性末端の還元的アミノ化を経由した一種目の重合性官能基の導入、続いてCNCの表面水酸基のエステル化による二種目の重合性官能基の導入を行い、CNC二官能性開始剤を合成した。[2]中間体の分析結果も併せて、CNC二官能性開始剤は高い密度で重合性官能基を有するCNC誘導体であることが示唆された。 CNC二官能性開始剤を開始剤、メチルメタクリレートをモノマーとした二種の制御ラジカル重合を逐次行うことで、比較的表面占有率が高く、分子量の異なるブラシが位置選択的に導入された非対称的ブラシ付与CNCの合成に成功した。 [3]非対称的ブラシ付与CNCを有機溶媒中に分散後、空気/水界面に展開することで得た単分子膜を観察し、粒子が凝集していないことを確認した。 以上より、本研究で開発された非対称的ブラシ付与CNCの合成経路は、異なる特性を有するブラシの系統的な付与が可能であり、今後の秩序構造の探索に向けて有用であると判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は秩序構造のビルディングブロックとしての活用を目指した非対称的ブラシ付与CNCの合成経路の開拓であった。系統的なブラシの付与を二種の制御ラジカル重合の逐次実施により実現すべく、位置選択的に重合性官能基を付与したCNC二官能性開始剤を合成した。実際、これを用いて、分子量が異なるポリマーが導入された非対称的ブラシ付与CNCの合成が可能であることを実証している。また、この開始剤は異種の化学特性を有するポリマーを導入した非対称的ブラシ付与CNCの合成にも活用できると考えられ、概ね計画通りに進行していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、分子量の異なるポリマーブラシを付与した非対称的ブラシ付与CNCの合成に成功した。次年度以降はこれを用いた秩序構造の探索に向け、少量のサンプルで実施が可能な水/空気界面における単分子膜での秩序構造の探索を行う。同時に、同じくCNC二官能性開始剤を出発原料とし、異種の化学特性を有するブラシを付与した非対称的CNC誘導体を合成し、ブラシの位置選択性の可視化、および斥力だけでなく引力相互作用も駆動力とした秩序構造の創製も試みる予定である。
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Causes of Carryover |
本年度開発された合成経路により作製された非対称的ブラシ付与CNCは、購入予定であった超音波装置による分散処理を経ずとも、当初の予想に反して分散性が高いことが判明した。そこで、蛍光性モノマーを付与した非対称的ブラシ付与CNCにより、ブラシの位置選択性の直接観察を企図したが、詳細な検討に時間を要しため、配賦額の一部を繰り越した。繰り越し分は蛍光モノマーの購入等に充てる予定でる。
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