2023 Fiscal Year Research-status Report
インターデジタル構造を有する2次元層状炭化物によるソフト圧力センサの創生
Project/Area Number |
23K13805
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
関根 智仁 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 准教授 (20805634)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ミクロ界面制御 / 層状炭化物 / ソフト圧力センサ / 触覚デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、2次元層状炭化物を主成分とするインターデジタル構造を有するソフト圧力センサの作製とその高感度化を達成し、触覚デバイスへの応用実現性を明らかにすることである。 これを達成するために、本年度はセンサデバイスに使用する複合材料、および溶媒の最適化を溶液相溶性の観点から行った。特に、界面活性剤が2次元層状炭化物の凝集に及ぼす影響の解明に焦点を当てた。また、感圧層薄膜形成時の成膜性が導電性に与える影響についても同時に解析を行っており、これらの相関性に関する知見を得た。ここで、添加する界面活性剤量は、当該感圧層中のマトリクスポリマーへの化学的影響を考慮して、現状では約10 wt%以下が最適であると考えている。加えて、2次元層状炭化物のアスペクト比や層的重なり状態を考慮した分散性と導電性の両立も含めた液中ナノ界面制御技術の確立を、有機材料科学の視点から詳細に行っている。これらのミクロな会合による物理的結合状態は電子顕微鏡や光学顕微鏡などを駆使した形態観察、および化学的分析方法から評価を行っている。一方、デバイス作製において、溶液中の材料の分散状態によっては過凝集が起こることで、センシング特性の感度低下を引き起こすことが明らかになっている。このため、更なる詳細な相溶性と薄膜状態の相互的なデバイス設計指針が重要であることが分かった。なお、並行して進めているこれら圧力センサの作製において、様々な触覚デバイスへの応用展開の可能性が明らかになってきている。更なる性能向上にむけて、ミクロ領域での材料凝集防止と導電性向上の最適化を進めており、今後は電気特性およびデバイス性能の評価を包括的に行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
圧力センサに用いる溶液中における界面活性剤種や溶媒の最適化に関する知見を得ることができた。また、計画していた溶液調整とデバイス化にも着手している。以上より、おおむね当初の予定通り研究が進んでおり、高感度ソフトセンサ作製と触覚デバイス化に関する重要な知見が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
ソフト圧力センサに用いる溶液の材料システムを概ね構築できたため、更なる最適化とデバイス応用を推進していく。特に、感圧層成膜時のミクロな構造評価と印加応力に対する感度応答性の関係について詳細に解析を行う。さらに、センサ自体の成膜方法も併せて検討することで高性能化の実現を目指す。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた装置のスペックを進捗に合わせて再考したためである。また、消耗品の一部は別予算で購入したものを使用可能だったため購入しなかった。今後は、研究内容と併せてデバイス作製と評価における必要品を精査し、使用する予定である。
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