2023 Fiscal Year Research-status Report
黄麹菌を用いた界面活性タンパク質ハイドロフォビンの生物学的役割の解明
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23K13869
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
寺内 裕貴 山口大学, 大学研究推進機構, 助教 (40915336)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | ハイドロフォビン / Aspergillus oryzae / 自己組織化 / 濡れ性 / 界面化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究の目的は、一種の糸状菌が複数のハイドロフォビンを有することの生物学的意義を明らかにすることである。そのために、産業菌である黄麹菌が有する全てのハイドロフォビンを対象とし、1. ハイドロフォビンの発現量・分泌量解析、2. ハイドロフォビン破壊株および相補株の表現型と局在解析、3. 各ハイドロフォビンの界面化学的解析を行う。さらに1.-3.の結果を各ハイドロフォビンで比較・統合し、生物学的な意義を考察する。 本年度は研究計画に基づき、Aspergillus oryzae ハイドロフォビン の探索と、ハイドロフォビンRolAおよびHypB単破壊株の表現型解析を行った。まず、様々な寒天培地上で生育させたところ、ΔrolA株およびΔhypB株はどちらもWTに比べ生育が遅かった。次に、分生子表面および気中菌糸表面をSEM観察した。その結果、ΔrolA株は分生子表面のハイドロフォビン 自己組織化構造が消失し、ΔhypB株は気中菌糸表面の突起状構造が消失していた。さらに寒天培地上に生育させたコロニーや分生子の濡れ性が大きく変化していた。これらの結果から、RolAやHypBは機能の重複がありつつも、RolAは分生子表面で、HypBは気中菌糸表面で特に機能していることが示唆された。上記の結果は11月に行われた糸状菌分子生物学研究会で発表した。現在はこれらの内容を論文にまとめ、投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はA. oryzae ハイドロフォビンのハイドロフォビンの発現量、分泌量解析と、RolA, HypB破壊株の表現型解析を行う予定であった。これらの実験は本年度内に終了しているため、当初たてた研究計画通りに推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、RolAおよびHypB破棄株に対し、それぞれのハイドロフォビンのローカスに各々のハイドロフォビンをもどした相補株を造成する。また、ΔrolAΔhypB二重破壊株をマーカーリサイクルが可能になるように造成する。また、ΔRolC株やΔHypD株の造成をし、これらの株の表現型解析を行う。また、これらのハイドロフォビンの蛍光タンパク質融合相補株を造成し、これらの株の表現型やハイドロフォビンの局在を観察する。
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Research Products
(1 results)