2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K13871
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
加藤 悠一 神戸大学, 先端バイオ工学研究センター, 特命助教 (70791903)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ラン藻 / L-グルコース / 希少糖 / 光合成 / 二酸化炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
グルコースの光学異性体のうち、L体のグルコースを生産する生物は自然界において報告がない。本研究では、生物が本来行わないL-グルコース生合成の実現可能性について、酵素開発アプローチにより検証する。シミュレーション技術を活用して、L-グルコース合成に資する酵素を幅広い生物種から探索し、その改変により高活性な酵素を創出する。開発した改変型酵素を光合成微生物であるラン藻において発現させ、CO2を単一炭素源としたL-グルコース生産の実現を目指す。 当該年度は、本研究において生合成の実現を目指すL-グルコース、およびその中間生成物の生産評価に向けて、これらの化合物の光学異性体を分離して検出するためのカラムスクリーニングなどを行い、HPLC分析の基盤を整備した。それと並行して、先行研究の情報からL-グルコース合成に資すると考えられた種類の酵素について、L-グルコース生合成に特に適した酵素を自然界から探索することを目的として、データベースのアミノ酸配列情報を元にドッキングシミュレーションを実施した。本研究で想定しているL-グルコース生合成経路上の酵素および化合物について、それらの親和性などに基づいた評価を行い、各反応を担う酵素としてそれぞれ5種類程度の候補酵素を選定した。さらに、これらの候補酵素の活性を大腸菌および精製酵素を用いて評価するため、大腸菌内でそれぞれの酵素を発現するためのプラスミドを構築し、活性解析の準備を完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度において、L-グルコースおよび中間生成物を解析するための基盤を整備することに成功した。自然界からの新規有用酵素の探索に着手し、シミュレーション技術を駆使して候補となる酵素を選定した。さらに、選定した酵素の評価に向けて、これらを大腸菌内で発現するためのプラスミドを作製した。以上のことから、研究初年度としては順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度に選定した候補酵素について、大腸菌および精製タンパク質を用いて活性を評価し、ラン藻において発現させる酵素を決定する。加えて、シミュレーション技術を駆使した酵素の改変を行うことで、L-グルコース生産において有用な高活性酵素を開発していく予定である。
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Causes of Carryover |
合成経路の見直しを行った結果、一部の酵素についてはシミュレーション技術を駆使した候補の探索を次年度に改めて行うことにしたため、その遺伝子合成にかかる費用などについて、次年度使用額が生じている。
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