2023 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of a functional annotation method for triterpenoid biosynthetic genes in plants
Project/Area Number |
23K13886
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田村 啓太 広島大学, ゲノム編集イノベーションセンター, 特任助教 (20938766)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | トリテルペノイド / 植物二次代謝産物 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
植物が生合成するトリテルペノイドには、薬用植物甘草が生成するグリチルリチンなど有用化合物が多く存在するが、その多くは生合成メカニズムが明らかになっていない。近年、シークエンシング技術の進展に伴い植物のゲノム情報の解読が進んでいるが、トリテルペノイド生合成に関する既知遺伝子に関してはデータベース化が十分に進んでおらず、新規に解読されたゲノム情報に対してトリテルペノイド生合成遺伝子の予測をスムーズに行う上での障壁になりうる。
そこで本研究においては、上記の課題解決を目標として、トリテルペノイド生合成に関する既知の代謝反応と配列情報のデータベース化から着手した。2023年度は、先行して公開されていた複数の総説論文において引用されている原著論文を中心に、トリテルペノイド生合成酵素ならびに転写因子の機能解析が行われた文献を網羅的に調査し、合計532のタンパク質に関するデータベース"Triterpene RDF"を新たに構築した。本データベースにおいては、広義のトリテルペンとして2,3-オキシドスクアレンを共通前駆体とするステロイド化合物に関する生合成経路も含め、オキシドスクアレン環化酵素 (OSC)、シトクロムP450酸化酵素 (P450)、UDP糖依存型糖転移酵素 (UGT)、その他酵素、転写因子 (TF) に分類し、生合成反応の基質および反応情報を整理した。また、データベース中の各エントリーはUniProtKBあるいはNCBI protein databaseとリンクさせ、生物種ならびに配列情報はこれらのデータベースからリンクさせる形で取得した。データベースはhttps://github.com/ktamura2021/triterpene_rdf/において公開し、国内外の研究者が自由に利用可能な状態とした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
植物トリテルペノイド生合成に関する既知の酵素ならびに転写因子に関して、配列情報を含めた網羅的なデータベースの構築にはじめて成功し、オープンデータとして公開した。これにより、トリテルペノイド生合成遺伝子の機能アノテーション手法の開発に向けた基盤情報の整備ができ、トリテルペノイド生合成遺伝子の予測手法の確立に向けた準備が整った。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、作成したデータベースを用いてトリテルペノイド生合成酵素遺伝子の同定を目指す。機能アノテーションの手法としては、従来一般的に用いられる局所アライメントのみならず遺伝子全体の配列類似性を基準とした大域的アライメントの利用も検討し、これまでトリテルペノイド生合成酵素遺伝子が同定されていない植物種を対象として、候補遺伝子の抽出とその機能解析に取り組む。
|
Causes of Carryover |
遺伝子機能解析の準備として2023年度に計上していた物品費の使用額が当初想定より減じたため、次年度使用額が生じた。2024年度に進める遺伝子機能解析を中心に必要な経費として使用する計画である。
|