2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K13887
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
藤浪 大輔 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (50805364)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 蛋白質工学 / 糖鎖修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
翻訳後修飾の一つである糖鎖修飾はタンパク質の機能や安定性に寄与する。システインの側鎖にあるチオール基硫黄へ結合したS型糖鎖は、セリンまたはスレオニンの水酸基酸素に結合したO型糖鎖に比べて高い体内安定性や高生物活性を示す。S型糖鎖の化学合成において、S-Cグリコシド結合の立体制御が煩雑である。そこで申請者は酵素学的な手法により、S型糖鎖の効率的な調製を目指す。 酵素学的なS型糖鎖の調製に用いるための酵素を、ゲノムマイニングにより探索した。その結果、細菌Paenibacillus alvei に由来する糖転移酵素FlgGT1を発見した。生化学的な解析によりFlgGT1が鞭毛構成蛋白質であるHagを糖鎖修飾することが明らかになった。また、FlgGT1は様々な糖ヌクレオチドに対して広いドナー基質特異性を示すことが明らかになった。この性質は将来的な糖タンパク質工学において有用である。 FlgGT1のアクセプター基質特異性について、Hag変異体を用いてin vitroで評価した。その結果、FlgGT1がセリンまたはスレオニンの水酸基を標的とするO型糖転移酵素であることが明らかになった。一方、システインに対しては糖転移反応を示さなかった。このO型選択性のメカニズムを明らかにするために、FlgGT1の構造モデルを精査したところ、ヒスチジンが触媒塩基として機能することが示唆された。ヒスチジンのpKaがO型選択性を規定するという仮説を立てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FlgGT1の発見と生化学的解析を行うことができた。結果として、FlgGT1のS型糖転移活性を検出することはできなかった。今後は、蛋白質工学的なアプローチによりFlgGT1をS型糖転移酵素に改変する。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒスチジンのpKaを変化させるために、これをヒスチジン様非典型アミノ酸に置換する。現在までに、δ-メチルヒスチジンと5-チアゾイルアラニン置換体を得ることができている。実験の過程で非典型アミノ酸の導入効率の低さが問題となった。導入効率を上げるために、アンバーサプレッション法のアミノアシルtRNA合成酵素をMjからMmへ、プラスミドをpEVOLからpDuleに変更することを検討する。
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Causes of Carryover |
非典型アミノ酸などの試薬の購入費に充てる
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