2023 Fiscal Year Research-status Report
リゾチーム由来ペプチドによる抗炎症効果およびアミノ酸配列との相関解明
Project/Area Number |
23K13918
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Research Institution | Niihama National College of Technology |
Principal Investigator |
田頭 歩佳 新居浜工業高等専門学校, 生物応用化学科, 助教 (40847282)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | リゾチーム / ペプチド / 抗炎症 / アミノ酸配列 |
Outline of Annual Research Achievements |
卵白などに豊富に含まれているリゾチームは、トリプシン処理によって得られた分解断片も抗炎症効果を有することが明らかになっている。そこで本研究の目的は、リゾチーム由来ペプチドの抗炎症効果の作用機序を明らかにすることにある。 これまでの研究において、トリプシン処理したリゾチーム断片のうち、HPLCにより分画した2つの画分に抗炎症効果が認められており、それら画分に含まれている3種類のオリゴペプチド(それぞれ7残基、8残基、12残基)に着目した。本年度は各オリゴペプチドが炎症状態に誘導したマクロファージ様細胞株RAW264.7の炎症誘導物質産生に与える影響を検討した。その結果、すべてのオリゴペプチドは、炎症性サイトカインであるインターロイキン(IL)-6の産生を抑制したが、腫瘍壊死因子(TNF)-αは1種類のオリゴペプチドでのみ抑制がみられた。両方の炎症性サイトカインを抑制したオリゴペプチドは、他2種類に比べ、疎水性ペプチドが連続して結合しており、より疎水性が大きいことから、細胞内に取り込まれて細胞内で作用を示している可能性が示唆された。近年D-アラニンによる腸管炎症抑制効果が報告されており、本研究で用いたオリゴペプチドについてもアラニンが含まれている。今後、他の炎症性サイトカインに与える影響を検討を進めるとともに、アラニンを筆頭に疎水性アミノ酸の結合が多い配列部分に着目して、解析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
他の炎症物質の活性評価が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は他の炎症関連物質に与える影響を進めるとともに、予定通り作用機序の解明を進めていく。また、抗炎症作用が報告されているアミノ酸が連続して結合している配列にも着目して検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
申請時には初年度にスタンダード倒立顕微鏡の購入を予定していたが、申請後に別予算にて購入が可能となったため、その分の使用額に変更が生じた。次年度において別機器の新規導入が予定されており、本研究でもその機器を使用する予定であるが、前処理でさらに別機器が必要となるため、そちらの購入で調整する予定である。
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