2023 Fiscal Year Research-status Report
ヘテロクロマチン境界領域変動による転写誘導量を細胞集団で一定に維持する機構の解明
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23K13925
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
東出 望花 福井大学, 学術研究院工学系部門, 特別研究員(学振RPD) (50812690)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / ヘテロクロマチン / 出芽酵母 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、スクリーニングによって単離した、青白二色コロニーについて、(1)再度青白判定による表現型解析を行い、(2)CRISPR/Cas9によって白色領域、青色領域のそれぞれについて蛍光株を作製しFACS解析を行った。(1)の結果、青白判定を繰り返す中で、青白二色コロニー株において、発現強度が切り替わる条件が明らかになってきた。まず、白色→青色への分岐は発現誘導後に起こることが分かった。具体的には発現の弱い白色コロニーが形成される途中で同じコロニーの途中から発現の強い濃い青色の領域が現れた。次に、青色→白色への分岐については、発現誘導後には起こらず、通常のYPAD培地上で起こることが分かってきた。(2)について、予想では、青色領域と白色領域両方の由来株で発現強度が高いものと低いものの二極化が見られるのではないかと考えたが、青色、白色どちらの由来株でも発現強度の二極化は起こらず、野生株よりも発現が強い、または弱い細胞集団のピークのみが見られるという結果であった。しかしながら、発現誘導に用いるマイコフェノール酸の濃度を高くすると、白色領域由来株の方が青色領域由来株よりも早いタイムポイントで蛍光輝度を示すピークの移動が見られた。この現象について青白二色コロニーの白→青への分岐と関係があるのかを調べている。現段階の結果では、青白判定では、両方の細胞集団から発現強度の分岐が見られているが、蛍光株による解析では発現強度の明確な分岐(ピークの二極化)を見ることは出来ていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
蛍光株では予想通りの結果は出ずにソーティングまで至らなかったが、青白判定によって発現強度の切り替わりの条件を明らかにすることが出来たこと、蛍光株を作製する中で、CRISPR/Cas9による変異導入法の精度を上げることができたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、引き続き表現型解析を進め、野生株との掛け合わせによる純化を行い、遺伝子同定まで進める予定である。今回解析に用いた変異株以外にも別クローンの青白二色コロニー株を複数単離しているため、これらの変異株についても同様に表現型解析を行い、遺伝子同定まで進める予定である。
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