2023 Fiscal Year Research-status Report
スターチシンターゼに着目したイネの胚乳以外の器官を用いた澱粉構造制御機構の解明
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23K13931
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
三浦 聡子 秋田県立大学, 生物資源科学部, 特任助教 (60973047)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 澱粉生合成 / イネ / スターチシンターゼ / 茎葉部 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの作物は貯蔵器官に多量の澱粉を貯蔵している。貯蔵器官である胚乳においては澱粉生合成に関与する酵素の機能が解明されつつある。一方、胚乳以外の器官の澱粉生合成に関与する酵素の機能は未解明な部分が多い。胚乳以外の部分(葉や根、花粉等)に蓄積される澱粉も重要な生理機能を有している。栄養器官である葉身や葉鞘の澱粉を生殖成長期に効率よく確実に胚乳に転流することができれば収量の増加につながる。従って、胚乳以外の器官の澱粉生合成メカニズムを解明することは重要である。 本研究では、イネの胚乳以外の器官で発現が強い、澱粉生合成関連遺伝子のうち、澱粉の主成分であるアミロペクチンの直鎖を伸長するスターチシンターゼ(SS)の欠損変異体を単離し、異なる器官で合成される澱粉構造解析を行うことで質的制御機構を明らかすることを目的とした。 胚乳以外の澱粉生合成メカニズムを明らかとするには、胚乳以外で発現の強い酵素の変異体を取得する必要がある。胚乳で発現の弱いSSIIb、SSIIcとSSIVaの変異体は、CRISPR Cas9法を用いて目的遺伝子に変異を導入し、変異箇所が明らかとなっている。2023年度は、特定している遺伝子配列の変異箇所を利用して分子マーカー[derived Cleaved Amplified Polymorphic Sequences (dCAPS)またはCAPS]を構築し、3系統(SSIIb、SSIIcおよびSSIVa)の変異体を単離した。単離した変異体から葉身、葉鞘、登熟と完熟種子を取得した。また、SSIVaとSSIVbの欠損変異体を用いて二重変異体の作出を試みた。しかし、二重変異体の交配当代(F1)の種子は胚形成はあるものの、胚乳澱粉の形成が著しく低下しており、発芽しなかった。そのため、交配後約10日の登熟種子を培養することで発芽することに成功した。今後、これらのF2種子から二重変異体の単離を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SSIIb、SSIIcとSSIVa変異体を単離し、各系統から葉身、葉鞘と登熟種子および完熟種子をサンプリングすることができたため。 SSIVaとSSIVb遺伝子変異体を交配し、F1株を生育することが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
単離した3系統の変異体からサンプリングした各器官を用いて澱粉精製を行い、それらの澱粉構造とアミロース含量を明らかとする。 また、各SS二重変異体の単離を行う。
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