2023 Fiscal Year Research-status Report
光化学系間インバランスがもたらすイネステイグリーン現象の解明とその集積効果の検証
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23K13933
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
山谷 浩史 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 量子バイオ基盤研究部, 主任研究員 (30962914)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 葉老化 / クロロフィル / 光合成 / 光化学系 |
Outline of Annual Research Achievements |
葉老化時にも緑色を保つ突然変異体はステイグリーン突然変異体と呼ばれ、葉野菜等の品質保持や収量の増加に有用であることが知られている。本研究では、新奇ステイグリーン突然変異体の原因遺伝子の単離と機能解析を行い葉老化制御の分子メカニズムを明らかにするとともに、ステイグリーン突然変異の集積により強力なステイグリーン系統の作出することを目指す。
dye2-1 はガンマ線照射により誘発された日本晴由来のステイグリーン突然変異体である。dye2-1の原因遺伝子を調べるためにポジショナルクローニングを試みた結果、候補領域を約126kbに狭めることに成功した。次世代シーケンサー解析により全ゲノム配列を決定すると、dye2-1において、この候補領域に存在する光化学系関連遺伝子にアミノ酸置換を伴う塩基置換が生じていた。ウエスタンブロット法によりこのタンパク質を検出した結果、dye2-1は野生型に比べて蓄積量が低下していることが分かった。したがって、dye2-1におけるアミノ酸置換はこのタンパク質の不安定化を引き起こすと考えられた。アグロバクテリアによる形質転換法によりdye2-1へ野生型の光化学系関連遺伝子を導入した系統では、野生型と同様の自然老化時のクロロフィル含量の低下が観察された。以上の結果から、DYE2遺伝子はこの光化学系関連タンパク質をコードすることが明らかになった。これまでの研究でこの遺伝子の変異がステイグリーンを引き起こすことは報告されていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通り、dye2-1の原因遺伝子の単離と機能解析を行ったほか、ステイグリーン突然変異の多重変異体を作成した。
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Strategy for Future Research Activity |
DYE2による葉老化制御の分子メカニズムを明らかにする。具体的には、dye2-1と野生型の葉老化時におけるタンパク質の蓄積量の変化や老化関連遺伝子の発現パターンの変化を調べる。また、作成したステイグリーン多重変異体の表現型の観察を行う。ステイグリーン突然変異の多重変異体の作成の一部は使用するアリルの変更を行ったため、一部計画を変更して再度交配から実施し多重変異体を作成する。
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Causes of Carryover |
上述のように、多重変異体作成時のアリルを変更したことにより一部組み合わせにおいて交配からやり直した。多重変異体作成時の遺伝解析等のために次年度に予算を繰り越した。
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