2023 Fiscal Year Research-status Report
キクタニギクWHITE POLLEN1遺伝子の単離・機能解析と新形質栽培ギクの開発
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23K13944
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
秦 東 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 特任助教 (20908230)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | キクタニギク / 自家和合性 / 白花粉 / MIG-Seq / タベート組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
栽培ギクは日本の切り花生産の1/3を占める、花き産業において最も重要な花きであるが、高次倍数性・自家不和合性が障害となり、重要形質の遺伝解析を遂行することが困難である。そこで、我々のグループは栽培ギクによく似た二倍体野生ギク・キクタニギクの自家和合性変異体から純系系統を作成し、染色体レベルの全ゲノム塩基配列を決定することで、キク属モデル系統としている。本研究の目的は、突然変異体の単離と原因遺伝子の同定が難しい栽培ギクの代わりに、二倍体種キクタニギクの自家和合性系統を用いて解析を行う実験系を確立することである。そして、キクタニギクで得られた遺伝子情報を利用して、栽培ギクの改良に役立てることである。そのモデルケースとして白花粉変異体を用いた。本年度は分離集団の規模を拡大し、MIG-Seqを用いて遺伝子候補を探索した。蕾の大きさごとに顕微鏡切片を作成し、葯、タペータム層と花粉の色及び組織の変化を光顕微鏡で観察した。その結果、白花粉変異体の原因遺伝子WPO1は第一染色体147.7Mbp~173.9Mbpの領域に存在すると推測した。また、花の発育については野生型と変異体の間には差が見られなかったものの、wpo1変異体の花粉では特定のカロテノイドの蓄積に異常が見られました。したがって、wpo1変異体では花のタベート組織特異的にカロテノイド合成に異常が生じていると考えられました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分離集団の規模はすでに拡大され、MIG-Seqによる原因遺伝子領域の同定が完了し、原因遺伝子WPO1の同定が進行中です。
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Strategy for Future Research Activity |
高精度マッピングを行うことで遺伝子候補を確定する。相補形質転換体を作出し、花粉色を確認することで、候補遺伝子がWHITE POLLEN1遺伝子であることを証明する。
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Causes of Carryover |
当初の計画では遺伝子組み換え実験を行う予定でしたが、新しいラフマッピング方法を実施したため、より正確な候補遺伝子領域を同定することができました。そのため、今年度は遺伝子組み換え実験を実施しませんでした。次年度に遺伝子組み換え実験に使用する。
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