2023 Fiscal Year Research-status Report
都市に成立する微生物群集および土壌環境の解明とその健全化手法の検証
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23K13974
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
龍見 史恵 北海道大学, 農学研究院, 特別研究員(PD) (30883417)
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Project Period (FY) |
2023-01-20 – 2026-03-31
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Keywords | 外生菌根菌 / 土壌微生物 / 都市生態系 / 内生菌 / 都市緑化 / 窒素循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アメリカ・ボストン都市内の様々な緑地(76カ所)において、土壌、植物の葉および根のサンプルをそれぞれ228サンプルずつ採取し、DNA抽出を行い、都市の緑地生態系内の微生物群集が、管理方法の違いによってどのように規定されるのか解明を進めている。また、都市でよく用いられる土壌に、複数のタイプの森林土壌(都市林縁部、都市林内部、郊外林内部)を加えてポット実験を行い、森林土壌微生物、特に都市環境ストレスに既に適応した森林土壌微生物の導入が、街路樹の生育や健康を改善するのか、明らかにする研究を進めている。当該年度の研究にて、各緑地を、合計の樹冠の面積および下草やリターの有無など、管理強度に基づいて、森、林、公園、芝生、街路の5つのタイプに分類した。その結果、管理強度に伴って有意に、土壌温度・pH・硝酸態窒素濃度が上昇し、土壌含水率・有機物含有率が低下しており、都市緑地の管理特性の違いが土壌環境を大きく規定することが明らかとなった。これらの土壌因子は、土壌微生物組成の決定要因として知られている。一方で、土壌中のアンモニウム態窒素濃度および可給態リン濃度については、管理強度による有意な差は見られなかった。さらに、管理強度に加えて、各緑地の位置する地域の人口密度が、上記の土壌要因に与える影響についても検定を行ったが、明瞭なパターンは確認できなかった。緑地の立地については、さらに細かい情報(近隣の交通量など)も集める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたサンプリングが無事に完了し、土壌の物理化学特性の分析およびDNA抽出についても順調に進められている。また、ポット実験も無事に開始させることができたた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、緑地の微生物叢の解明に関しては、引き続き採取済みのDNAサンプルの分析・解析を進める。開始済みのポット実験についても、定期的に状況を確認しに行き、計画通りの時期にサンプルを採取する予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度の残額はもともと、緑地で採取したDNAサンプルの一部に対するシーケンス費用に用いる予定だったが、バッチ効果と実験設定が与える効果を混同しないように、サンプルをうまく各ランに分配する必要がでてきた。そのため、抽出済みのサンプルから順にシーケンスを行うのではなく、全サンプルのDNA抽出を先に済ませる必要があり、次年度にまとめてシーケンスを行うこととした。
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