2023 Fiscal Year Research-status Report
垂直構造の発達した林分の創出を可能とする植栽工による緑化条件の検討
Project/Area Number |
23K13977
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
小宅 由似 香川大学, 創造工学部, 助教 (30846176)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 植栽工 / 垂直構造 / 植生回復 |
Outline of Annual Research Achievements |
平地造成の副産物として生じる人工的な斜面である「法面(のり面)」では、表土保護や生態系回復を目的として緑化される。このとき、防災、生態系回復、管理頻度の低減といった点から、植生遷移を利用した「周辺の二次的自然」植生を目標とすることが望ましい。法面植生と自然群落との類似性の評価にあたっては種組成の類似性だけではなく、林内における垂直的な植物の配置状況である「垂直構造」も評価する必要がある。 主要な法面緑化工法のひとつである「植栽工」は、ある程度成長した苗木(一般には高さ約0.5m)を導入するため、成立植生の種組成をコントロールしやすい。しかし間伐等の管理施業を行わない場合、同程度に成長した苗木の導入による生存競争(自然間引き)の不全に起因した小径木が過密に生育する「モヤシ林」化のリスクが課題である。モヤシ林は風雪などの気象災害に対し脆弱とされ、垂直構造の単純化に伴う微気象をはじめとする林内環境の単純化がみられるなど、森林が有する機能の劣化が問題となることから、植栽法面において垂直構造の発達の有無が重要な課題として挙げられる。 本研究では、植栽工により緑化された道路法面を対象として成立植生を調査し、植栽施工時の導入種や植栽密度などの初期条件が成立植生の垂直構造に与える影響を解明することを目的とする。本研究の達成により、垂直構造が発達し「モヤシ林」化を回避した林分が成立しやすい植栽技術の開発、ならびに緑化初期の評価指標の検討に資することが期待できる。 四国地方の高速道路の植栽法面を対象地として、毎木調査、Braun-Blanquet法による植生調査、地上3Dレーザースキャナによる点群取得により群落の垂直構造を把握する。得られた垂直構造と初期条件との関連性を検討し、垂直構造の発達に影響する初期条件を提案する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2023年度中に調査対象地の選定を終えることができず、現地調査に着手することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年内に調査対象地の選定を完了し、現在、調査対象地の所有者である西日本高速道路株式会社との立ち入りにかかる最終調整を実施している。現在の予定では2024年7月より現地調査を開始し、2ヵ年で合計30箇所の立ち入り調査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
繰り越し額の内訳は、2023年度に実施できなかった現地調査ならびに機器借用にかかる費用である。2024年度以降に実施する現地調査の旅費、人件費、機器借用費として使用する。
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