2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of Pipe Condition Diagnosis Method Utilizing Pressure Transients Based on Unsteady Flow Characteristics and Pipe Structural Characteristics
Project/Area Number |
23K14037
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
浅田 洋平 筑波大学, 生命環境系, 助教 (50911252)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | パイプライン / 漏水 / 圧力変動 / 管構造変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
管路診断の対象としてまず「漏水」に着目し、数値モデルと最適化手法を用いた管異常部検知の実証試験を二つの対象地で行った。一つ目の対象地は全長約2kmの単管パイプラインである。まず、数値モデルを管路上の圧力波伝播速度の変化をパラメータとして流況が既知の場合の圧力変動を対象にキャリブレーションを行った。キャリブレーションした圧力変動モデルを用いた本手法を漏水の場合の圧力変動に適用して漏水検知を実施したところ、当該パイプラインの漏水位置を精度良く推定することができた。本結果は、土木学会論文集特集号(水工学)に論文として掲載された。二つ目の対象地は全長約18kmで分岐や管径変化を含む複雑な構造を持つ長距離パイプラインである。分岐や管径変化の構造を適切に数値モデルに組み込み、管路上の圧力波伝播速度分布だけでなく、圧力変動を発生させるためのバルブ閉塞中のバルブ開度もパラメータとして考慮したところ、本漏水検知法による漏水位置の推定に成功した。本結果は、論文として取りまとめ、現在査読中である。 アクリル製パイプラインシステムを作成し、流動中の水の流速分布をPIV(粒子画像流速測定法)によって計測し、そこから壁せん断応力の時間変化を求めることが可能になった。この壁せん断応力の時間変化を数値モデルに組み込んで圧力変動を計算したところ、既存のモデルと比較して実測の圧力変動の再現性が向上した。しかし、現状の開発中のモデルは実測の圧力変動の減衰を過小評価しているため、PIVによる計測技術の向上及びモデルの再現性の向上が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
管異常部の1つである「漏水」の検知に対して、圧力変動を用いた管異常部検知法(数値モデルと最適化手法を用いた管異常部検知)の有効性が現場のパイプラインで実証されたことは大きな成果であり、これに関して論文が一報掲載され、もう一報は現在査読中である。また、管路内の非定常流動特性の解明に重要となるPIV計測技術についても開発が進んでいる。以上から、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
管異常部の「管の亀裂」、「管の詰まり」に着目し、圧力変動を用いた管異常部検知の適用性、有効性をまず実験管路で確認し、現場実証試験につなげていく予定である。実験管路は本年度構築する。また、圧力変動を用いた管異常検知の解析手法として「数値モデルと最適化手法を用いた管異常部検知」だけでなく「深層学習による管異常部検知」も検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度パイプライン実験装置を構築する予定であったが、当該装置に関する業者との打ち合わせが長期化したため、本年度中に実験装置の完成が間に合わなかった。次年度使用額が生じた理由は本実験装置の構築に用意していた予算が未使用だったためである。翌年度、本実験装置の構築にこの予算を使用する予定である。
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