2023 Fiscal Year Research-status Report
稲副産物「もみ殻」の活用によるCO2削減を考慮した農業基盤施設の寿命評価モデル構築
Project/Area Number |
23K14038
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
阿部 由麻 (島本由麻) 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (70826601)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | 農業副産物 / アコースティック・エミッション |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,地震災害や長期供用に伴い,農業基盤施設の劣化や損傷の進行が顕在化している。老朽化した施設の維持管理や更新にあたっては,既存施設の長寿命化や産業副産物の活用等による環境負荷の低減が必要である。 施設の長寿命化を実現するためには,既存の損傷状態を適切に評価する指標が必要である。そこで,本研究では,コンクリート構造物を対象にUAVで撮影した画像から,施設の損傷状況を検出する手法について検討を進めている。検討の結果,可視画像および赤外線画像を組み合わせて機械学習することによって,高精度でひび割れを検出できることが明らかになった。 もう一つの視点として,農業基盤施設においては生物の生息場所の提供やカーボンニュートラルといった環境親和性の視点が今後重要になってくる。そこで本研究では農業副産物である「稲わら」や「もみ殻灰」を活用した環境親和性材料の開発に取り組むとともに,AE法を用いた材質評価法を提案することを目的とした。繊維の混和においては繊維の高強度化やマトリックスとの界面付着性の向上が課題として挙げられる。このため,本課題では稲わら繊維をオゾン処理することで界面付着性の向上を目指している。繊維処理の基礎的検討として,稲わら繊維の破壊挙動を適切に評価することを試みた。 検討の結果,稲わら繊維の引張強度試験の際に,AE法を導入することで,従来の指標からは十分に明らかにできなかった繊維の破壊挙動を捉えることができることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
UAV画像の機械学習を活用することで,コンクリート構造物におけるひび割れを高精度で検出できることが明らかになっており,おおむね順調に進展しているものと考えられる。 また,農業副産物を活用した環境親和型材料の開発にあたっては,稲わらのオゾン処理時間に応じて,破壊挙動が変化することをAE計測から明らかにしており,今後の複合材開発にあたって有益な結果が得られたと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
オゾン処理による稲わら繊維の化学構造変化を化学分析により明らかにする。加えて,稲わら繊維を混和した複合材料を作成し,力学試験から界面付着性や曲げ強度が向上する稲わら繊維の配向や混和量を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
翌年度購入予定であったDICM機器の価格が値上がりしたため,予算を繰り越した。
|