2023 Fiscal Year Research-status Report
水利組合が未発達な地域における農家間の緩い繋がりを考慮した水利用慣行の解明
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23K14039
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
大倉 芙美 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 農村開発領域, 任期付研究員 (10880297)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | かんがい排水 / 水利組合 / 水配分 |
Outline of Annual Research Achievements |
取水行動を表現する在来知の解明に向け、稲作農業者間の繋がりと営農状況と把握することとした。そこで、稲作農業者を対象に、世帯の構成、水田面積、作付け回数、直播か移植、種の入手方法、賃金労働者の雇用の有無、水不足の有無等を明らかにするアンケート調査票を準備した。 ラオスでは、ビエンチャン市から1時間強の位置にある農村を調査灌漑地区とした。アンケートの質問事項が対象とした灌漑地区に適切であるかを確認するため、予備試験として2023年12月に、アンケート調査票をもとにして、水利組合の役員5人を対象として聞き取り調査を実施した。帰国後に、現地の状況を反映させた質問項目になるよう修正した。そして、2024年2月に村内の稲作農業者26人を対象にアンケート調査を実施した。現在、結果を分析中である。 また、水配分を把握するために、支線水路に水位ロガーを設置した。ラオスは雨季と乾季の2期作であるが、灌漑用水路は乾季でのみ利用される。そこで、2024年度の乾季における灌漑用水路の流量調査に向けた予備試験として、支線用水路に3本の水位ロガーを設置し、1時間ごとに観測することとした。この予備試験は、水利組合による水位ロガーの維持管理が可能であるかを確かめる目的もある。また、圃場における水管理も明らかにするため、水利組合長の一筆の四隅に水位ロガーを設置した。 2月には、カンボジアにも渡航し、ラオスで行ったアンケート調査と同様な内容の調査を2024年度に実施するため、カウンターパートと打ち合わせを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
12月まで現地調査ができない状況になったが、12月と2月と渡航し、ラオスではアンケート調査を元に稲作農業者間の繋がりを明らかにし、幹線用水路における流量観測の準備を行った。カンボジアでは聞き取り調査に向けた準備を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ラオスでは、実施したアンケート調査の分析を進めるともに、灌漑用水路の利用が開始される12月から流量観測を開始、時系列的な水配分を明らかにする。また、村内に存在する社会的な繋がりを生かすことで行われている水配分の調整の仕組みをエージェントベースモデル化し、分析を進める。 カンボジアでは、ラオスと同様のアンケート調査を実施し、対象灌漑地区内の稲作農業者間の繋がりと営農状況と把握する。
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Causes of Carryover |
5月に足を骨折したため、12月まで渡航ができなくなった。 今年度は、各国2回渡航することに加え、業務委託を行うことで、カンボジアでの研究のスピードを上げる。
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Research Products
(2 results)