2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of Tractor Driving Simulator for Safety Training Purpose using XR Technology
Project/Area Number |
23K14043
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
渡辺 将央 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00975360)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | トラクタ / 非線形力学 / ドライブシミュレータ / 安全 / アクティブ制御 / 車軸サスペンション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,XR(クロスリアリティ)技術を活用し,安全教育用のトラクタ・ドライビングシミュレータの開発を目的としている。研究内容としては,1 モーションプラットフォームやVR(仮想現実)を可能とするヘッドマウントディスプレイなどのXR技術を農用トラクタ向けに開発・ローカライズ,および2 農用トラクタ特有の非線形力学を適切に再現可能な数理モデルに基づいたビークルダイナミクス・シミュレータの開発が必要となる。研究内容1に関しては,本年度は4自由度モーションプラットフォームを導入し,その動作・精度確認を行った。研究成果より,4自由度モーションプラットフォームを用いれば,特定のトラクタの危険挙動を安全教育用には十分な水準で再現できることが明らかとなった。一方,本モーションプラットフォームでは,x軸,y軸の挙動は十分に再現できないため,急加速や急ハンドルの挙動に関しては,更なる自由度が必要であることがわかった。トラクタモデルの開発においては,車軸サスペンションを具備したトラクタモデルの開発を重点的に行った。これにより,トラクタの車体構造変更により,動的な安定性がどの程度向上するのかといった設計論を議論することが可能である。開発モデルを用いて,農用トラクタの操舵安定性向上を議論するための基礎的な試験方法を開発した。開発試験方法の結果より,車軸サスペンションは特に前後輪あるいは前輪に具備することにより,安定的な操舵を可能とすることが明らかとなった。また,車体構造変更を伴わなくとも,実施できる安定性向上の試みとして,駆動力制御を数値的に行った。非線形制御手法の代表例であるDelayed Feedback制御により,トラクタ特有のカオス振動を安定化できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,1 モーションプラットフォームやVR(仮想現実)を可能とするヘッドマウントディスプレイなどのXR技術を農用トラクタ向けに開発・ローカライズ,および2 農用トラクタ特有の非線形力学を適切に再現可能な数理モデルに基づいたビークルダイナミクス・シミュレータの開発から構成される。1においては,モーションプラットフォームを既に導入しており,来年度以降,ヘッドマウントディスプレイやハンドルコントローラーを導入し,本格的なドライブシミュレータシステムを構築するための基礎を準備できており,順調に進展している。2については,異なる車体構造をもつトラクタモデルを表現可能な微分方程式を立式し,Matlab/Simulinkの形式で実装済である。今後は,モデルベースシステムスエンジニアリング(MBSE)の観点から,Matlab/Simulinkモデルで開発された因果的モデルを,SimscapeやModelicaなどの非因果的モデルに拡張予定であるが,これを行うための基本的なモデリングは既に済んでおり,順調な進展といえる。また,車体挙動を安定化させる制御手法に関しても,Delayed Feedback制御の実装に加えて,Sliding mode制御やExternal Forcing制御などの異なる制御手法の適用にも着手し,来年度以降理論的な考察を深める準備はできており,順調な進展といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度の研究推進方策としては,まずトラクタドライブシミュレータシステムの本格的な構築が必須となる。XR技術を適用するための基本的なデバイス(ヘッドマウントディスプレイ,ハンドルコントローラー)を購入し,これをトラクタドライブシミュレータ向けに実装する。来年度は,実装したシミュレータを学内で挙動確認できるまで進展させる計画である。また,モデリングに関しては,トラクタドライブシミュレータに利用する基本的なモデル開発は終了しており,今後は非因果的モデル(Simscape, Modelica, Dymola)などに順次適用していく。開発モデルは本質的に非線形モデルであるため,非線形モデルの理論的な解析を来年度以降順次行っていく。これに関しては,学外や国外の非線形力学,カオス理論の専門家との理論的な検討を中心的に行い,数理の側面から農用トラクタの不安定性について議論を進めていく。制御手法に関しても,カオス制御を中心とした非線形制御手法の研究開発を進める。これに関しても,学外や国外の非線形制御,カオス制御の専門家と議論を進めていくつもりである。モデル・制御の理論的な解析が一通り済んだ時点で,安全やコストのバリアをクリアできると判断した場合は,トラクタ実機の検証を学外の研究機関と協力して行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度はモーションプラットフォームを購入し,その動作確認,精度確認を行った。ただし,トラクタの物理モデリングでの研究進捗が大きかったため,ヘッドマウントディスプレイやハンコン購入を行い,XRプラットフォームの構築より,物理モデリングの効果検証,成果発表を優先した。次年度は,ヘッドマウントディスプレイやハンコン購入に差額を用いる計画である。
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