2023 Fiscal Year Research-status Report
Why increment of the alkaloid yield in Catharanthus roseus cultivated under a monochromatic red light
Project/Area Number |
23K14049
|
Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
福山 太郎 玉川大学, 学術研究所, 助教 (90808122)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 光環境 / 二次代謝物 / 資源分配 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニチニチソウは、赤単色光で栽培すると、青色光が含まれる条件と比較してバイオマスが増加しつつ、アルカロイド濃度が低下しない特徴がある。そのため、効率的にニチニチソウのアルカロイドを生産する手法として期待できる。他方で、多くの植物ではアルカロイドのような二次代謝物の濃度は、バイオマスの増加に伴い減少することが知られている。本研究では、「なぜニチニチソウは、赤単色光で栽培するとバイオマスが増加しつつも、アルカロイド濃度が低下しないか」を、明らかにすことを目的としている。 本年度は異なる赤青混合比の光環境でニチニチソウを栽培し、アントシアニンを含むポリフェノール濃度が変化しときに、アルカロイド濃度へ与える影響について調査を行った。計画段階では、アントシアニン類のみを対象としていたが、ニチニチソウの葉に含まれるアントシアニン類の濃度が低かったため、アントシアニン類を含むポリフェノールに対象を拡大した。まずニチニチソウに含まれるポリフェノール類を同定するために、ポリフェノール類の一斉分析を実施した。その結果、ニチニチソウの葉に含まれる主要なポリフェノールを2つ同定した。次に、異なる青色光下で栽培したニチニチソウのバイオマス、総ポリフェノール濃度およびアルカロイド濃度を調査した。結果としてポリフェノール濃度は、青色光の混合比率に依存して増加した。反対にバイオマスは、青色光の混合比率に依存して減少した。他方でアルカロイド濃度は、過去の結果と同様に、ほとんど変化がなかった。これらの結果から、バイオマスの減少によるアルカロイド蓄積の増加分が、ポリフェノール合成に利用されてしまっている可能性、または、過去の研究でも報告されている青色光によってアルカロイドが分解されてしまった可能性が考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異なる赤青混合比の光環境でニチニチソウを栽培したことで、総ポリフェノール濃度が増加していることが確認できた。また、ポリフェノール類の一斉分析により、主要なポリフェノールを特定することに成功した。他方で、青色光がアルカロイド生合成遺伝子発現に与える影響まで調査を進める予定であったが、試料の作成と実験の準備までは行ったが、最後の解析までは、時間が足りなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、ニチニチソウのポリフェノール類生合成促進が、アルカロイド蓄積に与える影響をより明確にするため、赤色光下で培養液に糖や植物ホルモン阻害剤を添加することでポリフェノール類を増加させる実験に取り組む。この試験により青色光によって生じるバイオマス減少やアルカロイド分解の可能性を排除する。まずは培養液に加える糖や植物ホルモン阻害剤の種類および濃度の検討を行う。 さらに、アルカロイドとポリフェノール類の前駆体であるアミノ酸類の定量も検討している。
|
Causes of Carryover |
国際会議への参加関連経費が、円安の進行により当初予定の金額を大幅に超えた。そのため、今年度調達を予定していた備品の購入を見送った。これにより次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、次年度予算に加えたうえで、次年度の予算分配を調整し、今年度調達を見送った備品の購入に充てる予定である。
|