2023 Fiscal Year Research-status Report
The Study for the neural mechanism that synchronizes mating behavior and ovulation
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23K14064
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 翔 名古屋大学, アジアサテライトキャンパス学院(農), 特任准教授 (50829223)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 交尾刺激 / 発情行動 / キスペプチン / AVPV / 頸管刺激 / LHサージ / シバヤギ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、哺乳類の雌の発情期において交尾と排卵を協調させる神経メカニズムを解明することである。 これまでに、交尾の際に雌ラットの脳内で活性化する領域をニューロンの活性化マーカーであるc-Fosの免疫組織化学により検索したところ、これまでに報告されていた腹内 側核、扁桃体、乳頭体前核、分界条床核等に加えて前腹側室周囲核(AVPV)が交尾刺激により活性化することが明らかとなった。また、排卵中枢と知られているAVPVキスペプチンニューロンが交尾刺激により活性化するかKiss1遺伝子およびc-Fosとの二重染色により明らかにしたところ、AVPVキスペプチンニューロンは交尾中の雄の陰茎による子宮頸管刺激によって活性化することが示唆された。 本年度は、子宮頸管への物理的刺激がAVPVキスペプチンニューロンを活性化するか、頸管刺激デバイスを用いて発情前期モデルの雌ラットの頸管を人為的に刺激したところ、交尾刺激を受けた際と同様にAVPVキスペプチンニューロンが活性化することが明らかになったま。次に、人為的な子宮頸管刺激(VCS)がLHサージに及ぼす影響について発情前期モデルの雌ラットを用いて検討したところ、VCSによってLHのサージ状分泌が劇的に増強されることを発見した。また、VCSが排卵数に及ぼす影響について発情前期の雌ラットを用いて検討したが、対照群とVCS群の間に有意な差は認められなかった。現在、VCSによるLHサージ増強効果がキスペプチンニューロンを介して起こるか、あるいは他のニューロンがGnRHニューロンに作用することにより起こる現象かKiss1 KOラットを用いて検討している。 また、シバヤギを用いてVCSの効果が種を超えて保存されているか検討した。発情期モデルのヤギにVCS処置を施し、LHサージを解析したところ、ヤギにおいてもVCSによりLHサージが増強されることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子宮頸管への物理的刺激がAVPVキスペプチンニューロンを活性化すること、その刺激によってLHサージが増強されることを明らかにすることができたため。また、VCSのLHサージ増強効果がヤギにおいても認められることを明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、Kiss1 KOラットを用いて、VCSがキスペプチンニューロンを介してLHサージを増強するか明らかにする計画である。また、VCSがどのような経路でキスペプチンニューロンを活性化するかについても組織学的解析を進めることによって明らかにする計画である。ヤギにおいては、VCSがヤギの排卵中枢である視索前野(POA)キスペプチンニューロンを活性化するか組織学的に解析を進める計画である。
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Causes of Carryover |
Kiss1 KOラットの交配状況が悪く、実験に使用するKOラットの数を確保するのに時間を要したため、その後のLH分泌解析や組織学的解析に使用する計画だった試薬等に用いる予算を次年度へ繰り越した。実験に必要な頭数が確保でき次第、次年度に解析を進める計悪である。
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