2023 Fiscal Year Research-status Report
食鳥処理前の骨格筋タンパク質代謝が支配する鶏肉の熟成機構の解明
Project/Area Number |
23K14068
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
勝俣 沙智 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 特任助教 (60963824)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | Nτ-メチルヒスチジン / 絶食 / ブロイラー / 骨格筋タンパク質分解 / 遊離アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国の食鳥処理場では、衛生管理のために、食鳥処理(と鳥)前に肉用鶏(ブロイラー)を絶食させる。絶食処理が熟成後の鶏肉品質に及ぼす影響を調査した申請者のこれまでの研究では、絶食時間を長くするとブロイラー生体内の骨格筋タンパク質分解反応が亢進し、熟成後の鶏肉中遊離グルタミン酸(食肉の主要なうま味成分)含量が増加することを明らかにした。この結果は、絶食時間の調節により熟成中にうま味成分を高くできる可能性を示唆している。一方、絶食時間に依存して熟成後の鶏肉中遊離グルタミン酸含量が高くなる機序の解明は課題として残されている。そこで本研究の目的は、「と鳥前の絶食時間に起因するブロイラー生体の骨格筋タンパク質分解レベルが、熟成期間の鶏肉中タンパク質分解酵素の働きに及ぼす影響の解明」とした。畜産学分野における骨格筋タンパク質分解についての既存研究では「家畜生体の骨格筋」または「と畜・と鳥後の食肉」のどちらかに主眼が置かれてきたため、それらの関連性は明らかにされていない。 研究内容について具体的には、生体の骨格筋タンパク質分解レベルの指標として血中Nτ-メチルヒスチジン濃度を用い、と鳥直後および熟成後の浅胸筋におけるATP非依存性のタンパク質分解酵素のmRNA発現量、および遊離アミノ酸含量との関係を明らかにする。まず本年度は、絶食処理に起因する家畜生体における骨格筋タンパク質分解レベルと、熟成後の浅胸筋における遊離アミノ酸含量ならびに骨格筋タンパク質分解酵素のmRNA発現量を調査できた。現在は、その関連性を解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、絶食処理に起因する家畜生体における骨格筋タンパク質分解レベルと、熟成後の浅胸筋における遊離アミノ酸含量ならびに骨格筋タンパク質分解酵素のmRNA発現量を調査できた。上記の理由により、本研究はおおむね順調に遂行していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は、当初の計画書通り「ヒトがうま味として検知できるGlu含量や、その他の鶏肉品質を熟成後も保ちつつ絶食時間を短縮できるか」の検討に着手する。
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Causes of Carryover |
令和6年度も継続して、絶食処理に起因した熟成後の浅胸筋中遊離グルタミン含量が増加するメカニズムを調査する予算が必要であるため。
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