2023 Fiscal Year Research-status Report
次世代シーケンシングを用いた病原ウイルスの包括的検出法の開発
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23K14099
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
鍋島 圭 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 特別研究員 (70910397)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 野生動物 / ウイルス叢 / 次世代シーケンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
国内の野生動物の死体を回収するとともに野生動物の学術捕獲を行いサンプル収集を実施した。それらサンプルに対してRNAウイルス叢解析用核酸抽出法を試み、次世代シーケンシングを実施した。得られたデータについて内容を解析し、ウイルス叢解析パイプラインを構築し解析を試みた。その結果国内の野生動物から複数種のウイルスを検出することができた。また、検出されたウイルス配列から本手法は高い感度を有することが推定された。 本解析法は信頼性の高いショートリードシーケンスを用いることが可能であり、さらに新しい設備をそろえる必要もないことから普及しやすく高感度で高い汎用性がある方法であることが期待された。また、解析パイプラインには二つの方法論に基づく手法を組み合わせることで高い感度と排出される配列長の高精度化に成功した。本手法をdsRNA-seq法と名付け公表を予定している。 本解析手法を実際に野生動物の死因探索に用いたところ、新規のレオウイルスやそれぞれの動物に独自のウイルス、家畜疾病の原因となる可能性のあるウイルスなどが検出され本法の有用性が確認されている。これまでの実験でdsRNA-seq法実施前に核酸溶液に処理を行うことで得られるデータ中のウイルス配列の割合を大幅に向上させることができる可能性が示されたため、現在は本法のデータ収量の改善、並びに過去に抽出された核酸溶液からもdsRNAの濃縮を実施できないかの条件検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初ターゲットシーケンスを改良してウイルス叢解析を行うことを予定していたが、新たなdsRNAを対象としたウイルス叢解析法(dsRNA-seq法)を考案し実施したところ好成績であった。dsRNA-seq法では配列が不明な新規ウイルスに対しても解析を行うことが可能となり、さらに解析配列長が大幅に改善した。このことにより当初の研究計画はほぼ達成できていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度で研究目標がほぼ達成できたため、今後は本手法の改善と本手法に基づいた野生動物のウイルス叢解析の実践を実施していく。 現在、野生動物のサンプリングを精力的に行い、本手法の解析を順次実施することで国内の野生動物のウイルス叢を順次明らかにすることを予定している。
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Causes of Carryover |
希少な動物のサンプリング予定を前倒しし、次世代シーケンシング解析を延期したため
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