2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanism by which actomyosin emerges cell chirality
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23K14186
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
石橋 朋樹 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (60914405)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 細胞キラリティ / 細胞回転運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞キラリティを生み出す分子実態がアクトミオシン細胞骨格であることが分かってきたが,細胞キラリティがアクトミオシン依存的に形成される機構はほとんど未解明である.本計画は,最新の高解像イメージング手法・数理モデリング・光遺伝学的手法を組み合わせることで,アクトミオシンが細胞キラリティを生み出す力学的原理を解明することを目的とする. 2023年度は,アクトミオシン関連因子への阻害剤で処理したCaco-2細胞に対して,Expansion Microscopyなどの高解像イメージングを行った.その結果,無処理群では,アクトミオシンのapical面への強い局在が観察された.細胞の回転を向上させる薬剤であるSMIFH2で処理をすると,細胞のapical面へのアクトミオシン局在も強まることを見出した.さらに,アクトミオシンが核の周囲にリング状の構造を取ることも高い空間解像度で明らかにした. これらをふまえて,共同研究者らの開発したアクティブカイラル流体力学モデルを適用した結果,細胞キラリティ形成にapical面に局在したリング状のアクトミオシン繊維があれば,分子スケールのトルクから細胞スケールの回転力が生まれうることが示唆された.分子スケールのトルクは,螺旋状のアクチン繊維をミオシンが引くことに起因すると考えられる. この理論から,アクトミオシンを細胞のbasal面に局在させると回転力が失われることが予測された.CN-03で細胞を処理すると,アクトミオシン繊維がbasal面に移行することが分かった.さらに,CN-03で処理をすると,細胞キラリティを失われた.この結果は,我々の開発したアクティブカイラル流体力学モデルの正当性を強く支持している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,2025年度に論文を投稿予定だったが,2023年度の時点で理論開発と実験検証のサイクルが急速に回り始め,bioRxivでの論文公開および論文投稿まで至った.また,当初は光遺伝学的手法を用いてアクトミオシンの空間的分布を制御する予定だったが,CN-03処理によってアクトミオシンの分布をbasal面に移行させられることが分かったため,より簡便に実験を行うことができるようになった.以上から,当初の計画以上に進展したと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
理論が正しいとすると,リング状のアクトミオシン繊維の量は,細胞回転の速度と相関することが予測されている.2024年度は,画像解析を用いてリング状のアクトミオシン量と細胞回転を定量して解析を進める. また,ミオシン分子のモーター速度が早くても,細胞回転の速度が上がることが予測される.現在,シャジクモのミオシンモータードメインを用いて,モーター活性が高いキメラミオシンを作成しており,これを導入した細胞において回転速度が上がるかを調べる.
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