2023 Fiscal Year Research-status Report
クライオ電顕構造解析を基盤とした光合成光化学系II表在性タンパク質の分子機能の解明
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23K14211
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中島 芳樹 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 助教 (60847052)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 光化学系II / クライオ電子顕微鏡 / 表在性サブユニット / 膜タンパク質 / 酸素発生 / 光合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
光化学系II複合体(PSII)が光合成反応における水分解・酸素発生機構を担っている。PSIIは複数の表在性サブユニットが結合しており、これらは生物種によって多様性を持ちながらも、どの生物種でも水分解反応に貢献する。本年度は、シアノバクテリアのPSIIから3つの表在性サブユニットを除去し、それらをいくつかの組み合わせで再結合させたサンプル群を対象に、クライオ電子顕微鏡を使用して、各サンプルから得られた電子顕微鏡画像の単粒子解析を行った。まず、各サンプルに適した電子顕微鏡観察用のグリッド作成条件を検討し、電顕観察に良好な条件を決定した。これらのグリッドを使用して、各表在性サブユニット再構成条件におけるクライオ電子顕微鏡粒子画像を収集した。結果として、得られた電子顕微鏡画像をそれぞれ分解能2.1-2.5 Åで解析することに成功した。これにより、個々の表在性サブユニットの結合状態を観察可能な電顕マップを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた各表在性結合サンプルについて、電顕画像収集をすべて行いそれらを解析した結果、良好な電顕マップを得ることに成功した。しかし、測定によって照射される強い電子線による構造の損傷を排除するため、撮影画像から利用するフレームの数を減少させて解析した電顕マップについて一部のサンプルで不明瞭なものとなった。このため追加の電顕画像データを収集する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
一部の条件で追加の電顕画像を収集する必要があるため、今後はこれらのデータ収集を行い、マップ解析を行うことと並行してすでに解析が終了している電顕マップについてはモデリングを進める。最終的にすべての条件においてモデリングを行い、立体構造をそれぞれ比較することでPSIIにおける表在性サブユニットの構造的寄与について明らかにし論文にまとめる。
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Causes of Carryover |
想定よりも効率よく良好な結果が得られた場合が多く当初想定していた物品の購入の必要性が一部なくなったため。一方本年購入したワークステーションについて性能が想定よりも不足する場合が生じており、次年度にこのスペックアップを行うために使用する予定である。
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