2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K14230
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
越智 拓海 岡山大学, 理学部, 非常勤研究員 (00837180)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 性経験 / 脊髄性機能中枢 / ガストリン放出ペプチド受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
性経験のある雄では性経験のない雄に比べ性行動が活発になる。申請者は最近、雄ラットの性行動を制御する間脳オキシトシン-脊髄性機能中枢ニューロン系を発見し、この神経ネットワークにおいて、性経験がオキシトシン受容体の発現を増加させることも見出した。そのため、性経験による遺伝子発現の変化が性行動を活発にすると考えられるが、性経験が脊髄の性機能神経ネットワークに与える影響については不明である。そこで本研究では、脊髄において、性経験で発現が変化する遺伝子に着目し、性行動を調節する未知の神経ネットワークの探索と性経験が性行動を活発化させるメカニズムの解明を行なっている。 本年度は、性行動を行っていない雄、初めて射精に至った雄の2群(各群N = 3)の脊髄X層でRNAseq法を行い、性経験で発現が変化する遺伝子を調べた。性経験により、遺伝子発現の変化が見られた遺伝子のうち、ガストリン放出ペプチド(GRP)受容体に着目し、GRP受容体発現細胞が赤色蛍光タンパク質(RFP)で標識される遺伝子改変ラットを用いて、RFP発現細胞の局在と脊髄性機能中枢ニューロンの局在を比較した。結果、RFP発現細胞は脊髄性機能中枢ニューロンとは異なるポピュレーションを示すことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脊髄X層において性経験で発現が変化する遺伝子(SE gene)の網羅的解析を行った。また、SE gene発現ニューロンの局在が既知の性機能中枢ニューロンと異なることを発見した。上記のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今回発見した脊髄X層GRP受容体発現ニューロンの性差と性行動による活性化を解析する。また、AAV-GRP受容体プロモータ-Creを用いて脊髄X層GRP受容体発現ニューロン軸索の可視化を試みる。
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Causes of Carryover |
本年度は、研究機関の移転および所属研究機関の変更があった。そのため、次年度使用額が発生した。翌年度は本年度に明らかにした性機能中枢ニューロンの機能を明らかにするため、性行動解析や組換え実験など個体レベルの研究を計画しており、本年度以上に費用がかかる見込みである。
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