2023 Fiscal Year Research-status Report
piRNA clusterを定義する因子Rhinoと共局在する新規ヒストン修飾の機能と制御
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23K14232
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 絡 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (60907377)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | piRNA cluster / piRNA / ヒストン修飾 / エピジェネティクス / ヒストンアルギニンメチル化 / ADMA |
Outline of Annual Research Achievements |
生殖組織由来培養細胞OSCにおいてRhinoと共局在するヒストン修飾(アルギニンにADMA修飾をもつヒストン; H3R2me2a, H3R8me2a, H3R17me2a, H3R26me2a, H4R3me2a, 以降ADMA-histones)の機能と制御を明らかにするため、交付申請書に記載した研究実施計画に沿って実験を行い、以下の知見を得た。 ①ショウジョウバエゲノムに存在するアルギニンメチル化酵素(drosophila arginine methyltransferase, DARTs)のOSCにおけるknockdown(KD)と免疫染色実験によって、DART1及びDART4がRhinoのfoci形成に必須の因子であることを同定した。またChIP-seq実験から、DART1がH4R3me2aを、DART4がH3R17me2aをそれぞれ介してRhinoの局在を安定化することも明らかにできた。 ②ショウジョウバエ個体を用いてADMA-histonesの局在をChIP-seqで確かめ、①の現象が培養細胞だけでなく生きた個体の卵巣でも同様に生じることを確認した。 ③DART4の生殖組織特異的KD(GLKD)実験によって、Rhinoの局在がbroadに失われる領域をゲノム中に43箇所同定できた。この領域はその末端にADMA-histonesを持つこと、piRNAの産生は見られるもののその量は低いこと、主要なpiRNA cluster(42AB等)はDART4GLKDの影響を受けなかったこと等から、この領域はRhinoが現在進行形でspreadしているものの局在安定化のphaseには至っていないと考えられた。この領域はpiRNA clusterの形成過程の最初期と考えられたため、initial-stage piRNA clusters(INSECTs)と名付けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って実験を行い、当初の目的の通りにADMA-histonesの責任酵素を同定でき、ADMA-histonesのRhino局在への役割を明らかにできた。さらに予想外の発見として、piRNA clusterの形成過程においてその最初期に該当する領域を同定できた。これらの知見から、piRNA clusterの形成過程が「ADMA-histonesとH3K9me3のbivalent nucleosomeへのRhino initial loading」「Rhino spread/propagation」「spreadしたRhinoの局在安定化」「Rhinoによって生まれたpiRNAの母型遺伝によるRhino位置情報の継世代的記憶」というダイナミックなRhino局在の移動によって定義されるというモデルが考えられた。これらの知見はpiRNA cluster形成過程の初期段階に関する論文として投稿中(under review)であり、BioRxivにも公開している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度でADMA-histonesのRhino局在への役割を同定できたこと、また予想外の発見としてinitial-stage piRNA clusterを同定できたことから、研究をpiRNA cluster形成過程の初期段階に関する内容から第二段階に発展させる。すなわち、初期段階からRhinoがspreadする範囲がどのように決定されるのか、という問題に取り組む。piRNA clusterの形成が末端のADMA-histonesへのinitial Rhino loadingから始まることを考えると、ADMA-histonesはpiRNA clusterというゲノム空間の境界を定義する因子であるとも考えることができる。これを裏付けるように、piRNA clusterの範囲決定(=Rhinoのspread範囲決定)にゲノム3次元空間の構造が関与することが先行研究によって示唆されている。piRNA clusterの範囲決定とゲノム3次元空間配置の関係を探るため、複数のゲノム構造化因子の役割を調査していく。
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