2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K14269
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
菊地 デイル万次郎 東京農業大学, 農学部, 助教 (30793343)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 飛行 / バイオメカニクス / 流体力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
飛行動物は力学的な制約により、空気の抵抗が小さい流線型の外部形態を獲得したと考えられている。その反面、流線型ではなく突起形態を持つ飛行動物は多く知られる。そこで、本研究では流体力学の分野で用いられる実験手法、野外での行動計測によって、飛行動物の突起形態がもつ機能とコストを探る。 飛行動物の突起形態が生み出す流体力を解明するための実験系を構築した。飛行時の流れを忠実に再現するため、回流水槽を導入した。回流水槽内に実験模型を固定するための台座、力を計測するためのロードセルを整備した。また、突起形態を詳細に分析するために、標本を3Dスキャナで計測し、高精細3Dプリンタを用いて実験模型を製作した。これにより、突起形態が流れに及ぼす影響を詳細に分析できるようになった。さらに、突起の形状とその大きさが飛行に及ぼす影響を調べるために、比較模型の設計を進めた。3D-CADを用いて突起の形状を人為的に変更して実験を準備した。 本年度は野外行動実験も計画しており、飛行動物の運動およびエネルギー消費を測定する予定であった。しかし、対象種の繁殖期が想定よりも早かったため、調査可能な時期を逃してしまった。そのため、調査地で実験手順を確認し、次年度以降の調査に向けた準備を進めた。代替の実験として、近縁種を飼育する水族園で運動計測を行い、予備的な知見を取得することに努めた。これにより、今後の実験計画を見直すデータを収集することができた。 実験環境の整備を中心に進めたため、直接的な成果を上げることはできなかったものの、今後の研究に向けた重要なステップとなった。得られるデータと知見は、飛行動物の突起形態がどのように流体力学に影響を与えるのかを理解するための基盤となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
野外行動実験を計画していたが、調査に適した時期が例年よりも早期化しており、データ取得の機会を逃してしまった。そのために、想定する成果を得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
流体力の計測実験が可能となったため、実験模型の製作と計測に取り組む予定である。実験結果に応じて、流れの可視化実験も進めて、突起形態の持つ機能あるいはコストを明らかにする。 野外行動実験に取り組み、飛行時の運動やエネルギー消費の計測に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
野外行動実験を全て実施できなかったためである。計画していた実験を次年度に繰り越し、野外で飛行動物の運動計測などに取り組む計画である。
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