2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating the Functions of Cortico-Cortical and Cortico-Subcortical-Cortical Pathways in Inter-areal Information Processing
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23K14284
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺田 晋一郎 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (40847274)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | システム神経科学 / 脳計測科学 / 2光子イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は光計測・光操作の同時実施を実現する実験系の構築および評価を行った。共振スキャナを用いた高速2光子イメージングにおいては単一光子の検出が可能な高感度検出器(PMT)の使用が一般的である。しかし、PMTには露光過剰による損傷リスクがあり、光遺伝学を用いた神経活動の操作において必要となる高強度の光との併用には問題があった。シリコン光電子増倍素子は新しいタイプの高感度光検出器であり、PMTと同等の感度を維持しつつ、高い入射光耐性を有している。本検出器を導入した2光子顕微鏡において、対物レンズを通し光操作用のレーザー光を同軸にて入射する光学系を追加した光計測・光操作2光子顕微鏡について構築した。一方で、光操作に伴うレーザー光は本来計測する神経活動シグナルを阻害してしまう。そこで、光操作に用いるレーザー光の照射タイミングを共振スキャナに存在する活動計測を行っていない期間と高速同期制御を行うことで、光計測・光操作の同時実施について実現した。本実験系によって経路特異的な神経活動の操作が可能かを評価するため、マウスのM1にて経路特異的な活動の光抑制について実施した。線条体投射細胞にて特異的にCreを発現する遺伝子改変マウスにおいて、Cre依存的に抑制性の光遺伝学プローブを発現するアデノ随伴ウィルス(AAV)、及び興奮性細胞においてGCaMPを発現するAAVをM1へと投与した個体を用意した。上記顕微鏡を用いカルシウムイメージングによる神経活動計測中にレーザー光照射による活動抑制を行ったところ、5層に位置する光遺伝学プローブ発現細胞特異的な活動の減少が確認された。また、上記経路特異的な光抑制を新規レバー引き運動課題中に実施することで、M1線条体経路が運動制御において果たす機能についても明らかとなったため、こちらについての論文報告を行った (Shinotsuka et al. 2023)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シリコン光電子増倍素子を導入した2光子顕微鏡の用意ができていたため、当初令和6年度に予定されていた内容を先行して令和5年度へと繰り上げた。一方で、令和5年度にて予定されていたイメージング実験については入れ替えとなり、令和6年度への実施となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初初年度にて実施が予定されていた実験である、イメージング実験について推し進めることで、M2→M1投射軸索および視床→M1投射軸索イメージングによる投射情報の解明を行う。まず、頭部固定を行ったマウスに対し2つの異なった行動文脈を伴う運動課題を学習させる。課題習得後のマウスにおいて2光子カルシウムイメージングによる軸索イメージングを実施することでM1へと送られている神経活動について取得する。取得された神経活動に対し、デコーディング解析とエンコーディング解析を行うことで 、直接的投射経路、間接的投射経路がそれぞれM1へと送っている情報の実体を詳細に明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初予定されたいたイメージング実験が後ろ倒しとなり、結果としてデータ保存において使用する予定のストレージサーバー関連品の購入も後ろ倒しとなったため。
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