2023 Fiscal Year Research-status Report
難治性痒みの伝達機構におけるグルタミン酸受容体の役割の解明
Project/Area Number |
23K14301
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
治田 彩香 宮崎大学, 医学部, プロジェクト研究員 (80773316)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | glutamate receptors / kainate receptor / small interfering RNA / knock down / spinal cord / scratching behavior |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イオンチャネル型グルタミン酸受容体であるN-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体、α-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazolepropionic acid(AMPA)受容体、Kainate(KA)受容体がそれぞれ痒みの情報伝達にどのように関与しているかを、拮抗薬およびsmall interfering(si)RNAの手法を用いて受容体のサブユニットレベルで解明することを目的とする。 2023年度は、AMPA/KA 受容体アンタゴニストである CNQX、KA受容体の選択的拮抗薬であるUBP310、UBP302、およびKA受容体サブユニットに対するsiRNAの手技を用いて、ヒスタミン依存性および非依存性痒みにおけるKA受容体の役割を調査した。 CNQX のクモ膜下腔内前投与により、ヒスタミンおよびクロロキンによって誘発されるマウスの引っ掻き行動の回数は減少した。一方、UBP310、UBP302、およびKA受容体サブユニットKA1、KA2、KA3のsiRNAによる前処理を行ったところ、ヒスタミン誘発性のマウスの引っ掻き行動は有意に減弱したが、クロロキン誘発性のマウスの引っ掻き行動と、diphenylcyclopropenone(DCP)誘発性の慢性そう痒症のマウスにおける引っ掻き行動の回数に有意な変化は認めなかった。 脊髄におけるヒスタミン誘発性のc-Fos発現に対するKA受容体拮抗薬の影響も調べたところ、UBP310またはUBP302のクモ膜下腔内投与により、ヒスタミンによって誘導される脊髄後角表層におけるc-Fos発現は減弱した。 これらの結果より、ヒスタミン依存性の急性のかゆみにおいて、KA受容体はマウスの脊髄レベルでの情報伝達に関与しているが、ヒスタミン非依存性の急性のかゆみやDCPによって誘発される慢性のかゆみの情報伝達には関与していないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度はおおむね順調に進展し、令和6年度に実施を予定していた慢性の痒みモデルマウスにおけるKA受容体拮抗薬の効果の検討についても着手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度はおおむね順調に進展したが、これまで使用してきたsiRNA試薬の販売が終了したため、令和6年度以降はsiRNAの技法を用いた実験の進展が遅れる可能性がある。他の試薬の使用を検討するとともに、NMDA受容体拮抗薬の痒みへの効果に関する実験を先行して実施していく計画としている。
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Causes of Carryover |
使用を計画していた実験試薬の製造・販売が終了したためを予定通りに試薬が購入できず、次年度使用額が生じた。次年度、代替品の購入に助成金を使用する計画である。
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Research Products
(3 results)