2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K14306
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
堀尾 佳世 藤田医科大学, 医学部, 助教 (00747876)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 触覚嗜好性 / 外側結合腕傍核 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトと同様にマウスにも生得的な触覚嗜好性があると考えられるが、触覚嗜好性は皮膚に存在する機械受容器であるメルケル細胞を介した神経ネットワークが関与していることが分かっているのみで、触覚情報を触覚嗜好性へつなげる神経回路基盤は解明されていない。 オスマウスを用いた本研究予備実験で、マウスに様々な粗さの紙やすりを床素材として提示し嗜好性試験を行ったところ、特定の粗さの紙やすり(P1000)を好み、さらにそこでの滞在により外側結合腕傍核のニューロンが活性化されることが明らかとなった。 本年度は床テクスチャ嗜好性に関わる神経経路を同定するために、まず初めにトランスジェニックマウスであるオスのTRAP2マウスの外側結合腕傍核に抑制性のDREADD(Designer Receptors Exclusively Activated by Designer Drugs)を注入し、外側結合腕傍核ニューロンの抑制を行った。またオスのMrgprb4-cre;LSL-DTAマウスを用い、触覚C線維を形成するMrgprb4+ニューロンの関与の検討を行った。いずれも野生型で見られたP1000に対する床テクスチャ嗜好性が再現せず、期待していた結果が得られなかった。 そこで対象をメスマウスに切り替え、実験の再構築を行った。メスマウスは滑らかなアクリル床よりもP1000、P2000、P3000の粗さの床テクスチャを好んだが、P40、P400、P5000は好まなかった。さらにMrgprb4-cre;LSL-DTAマウスを用いた実験ではMrgprb4+ニューロンが無くても床テクスチャに対する嗜好性は保持された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オスのトランスジェニックマウスを用いた実験で床テクスチャに対する嗜好性の再現が取れず、メスマウスでの再構築を行ったため、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はメスマウスにおける床テクスチャ嗜好性関連ニューロンの探索として、本年度完了できなかったP1000滞在時のcFosの発現解析に加え、メルケル細胞に存在するPiezo2遺伝子の欠損マウスおよびS1を局所破壊したマウスを作製し、床テクスチャ嗜好性におけるAβ感覚神経→S1経路の役割を検討していく。
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Causes of Carryover |
当初予定していたオスマウスでの実験で再現性が確認されず、メスマウスで実験の再構築をしているため、次年度使用分が生じた。 次年度は、今年度完了できなかったトランスジェニックマウスを用いた実験を行い、床テクスチャ嗜好性関連ニューロンの探索を進めていく。
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