2023 Fiscal Year Research-status Report
アゾ-エン反応を利用したアリル位炭素-水素結合の立体選択的官能基化
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23K14322
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒田 悠介 京都大学, 薬学研究科, 特定助教 (60870863)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アゾ化合物 / アルキン / ニッケル / アリル位置換反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アゾ-エン反応を利用したアリル位 Csp3-H 結合の位置・立体選択的な官能基化法を開発し、現状では合成が困難なキラルビルディングブロックを簡便に供給する基盤技術の確立を目指すものであり、本研究によりこれまで多段階不斉合成において冗長ながらも定石のごとく扱われていた一連の反応群を革新し、有機合成化学のみならず創薬開発の発展にも寄与することを最終目的としている。本年度は、①アゾ化合物とアルキンとの形式的3+2環化付加反応、および②ニッケル触媒を用いるアゾエン成績体と有機マグネシウム試薬とのアリル位置換反応の2つのテーマを推進した。以下にその概要を述べる。
①アゾ化合物とアルキンとの3+2反応:これまでに、アゾ化合物とアルケンとのエン反応がヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)などのフッ素化アルコールを溶媒して用いることで劇的に加速されることを見出していた。今回、アゾ化合物とアルキンとの反応におけるHFIPの効果を検証したところ、予想外の3+2環化付加反応が進行することを見出した。
②ニッケル触媒を用いるアゾエン成績体と有機マグネシウム試薬とのアリル位置換反応:遷移金属錯体をスクリーニングしたところ、ニッケルを用いた際にSN2'型のアリル位置換反応が進行することを見出した。ニッケルの配位子を精査したところ、特定の構造を有するホスフィンリガンドを用ることで、収率の大幅な向上を実現した。現在基質一般性の検討を行っている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに研究が進んでいることに加え、予想外の反応を発見することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の2つの研究を推進する。 ①有機ホウ素化合物などの官能基共存性にすぐれた求核種との置換反応に展開する。 ②キラル酸触媒やキラルルイス酸触媒による不斉エン反応を行う。
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Causes of Carryover |
所属研究室の研究費が潤沢であったため、早急に本研究費を使用する必要がなかったため。来年度は本研究をより効率的に推進させるために必要な物品を積極的に購入する予定である。
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Research Products
(2 results)