2023 Fiscal Year Research-status Report
イソプロスタン含有酸化リン脂質類の網羅的合成および構造活性相関研究
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23K14323
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
的場 博亮 九州大学, 薬学研究院, 助教 (20871669)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 酸化リン脂質 / イソプロスタン |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な生命現象に関与すると考えられている酸化リン脂質類について、詳細な機能の解明を目指している。酸化リン脂質の機能解明研究は近年盛んにおこなわれているが、特定の構造を持つ酸化リン脂質の機能を詳細に調査する検討は未だ少ない。本研究では、合成化学的なアプローチにより酸化リン脂質を供給することで、個々の酸化リン脂質が持つ機能を明らかにすることを目的としている。中でも、複雑な構造を有するイソプロスタン含有酸化リン脂質群を対象分子として設定し、炭素鎖の置換様式や、立体化学による活性の変化を調査することとした。イソプロスタン骨格は4種存在し、さらに各々に対して16種類の立体異性体が存在する。本研究では4種の骨格それぞれに対し、8種類の立体異性体、計32種からなる化合物群の合成、機能評価を行う計画を立てた。 本研究においては、標的化合物の網羅的、かつ立体選択的合成が一つの課題である。本課題の解決のため、タンデム型ラジカル環化-クロスカップリング反応を鍵とするイソプロスタン骨格構築法の開発を計画した。本年度は、4種存在するイソプロスタン骨格のうち1種に関して、鍵反応の反応条件を検討した。溶媒、還元剤、配位子の詳細な検討の結果、所望の反応が円滑に進行する条件を見出すことができた。カップリング成績体から標的化合物へと至る変換についても達成しており、イソプロスタン構造の新規合成法を確立することができた。鍵反応の開発、ならびに新規イソプロスタン合成法については、学会にて発表を行った。また、標的とする他の立体異性体についても鍵反応の進行を確認しており、本年度に確立した方法論により、イソプロスタン構造の網羅的な合成は達成できるものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の遂行には、標的化合物の立体選択的な合成手法の確立が重要な課題である。当初設計していた合成計画に基づき化合物の合成を達成できており、課題は順調に進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に確立した手法を用いて他の構造異性体についても合成を行う。 並行して、本研究のもう一つの課題であるリン酸エステルの導入についても検討を進める。 化合物の合成が完了次第、活性試験を依頼し、各化合物の機能評価を実施する。
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Causes of Carryover |
情報収集のために参加を予定していたいくつかの学会について参加を取りやめたため、参加費および旅費に余剰が出た。次年度は本年度得た結果をもとに研究の進行が加速すると期待され、成果報告のための学会参加に伴う経費に余剰分を充てる予定である。 物品については、研究の初期段階において想定より試薬や消耗品の使用が少なかったため、支出が少なくなった。次年度は化合物の量的供給に向け、試薬等の使用量は増加するため、余剰分はそれらの購入に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)