2023 Fiscal Year Research-status Report
がん抑制タンパク質p53の凝集制御且つ分解制御を達成する
Project/Area Number |
23K14334
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
日比野 絵美 名古屋大学, 創薬科学研究科, 助教 (00803371)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | がん抑制タンパク質 / p53 / アミロイド / アモルファス凝集体 / 化合物スクリーニング / 溶液NMR |
Outline of Annual Research Achievements |
がん抑制タンパク質p53はがん化を防ぐ上で非常に重要な役割を果たしているが、現在まで、p53を標的とした抗がん薬の開発は難航している。p53の機能喪失経路には、凝集経路と分解経路の主に2通りある。本研究の目的は、凝集経路と分解経路の両方を阻害する化合物を発見し、その効果を培養細胞で検証することである。なお分解経路に関してはすでに世界的にも研究されている分野である。一方、凝集経路に関しては、アミロイド凝集体とアモルファス凝集体を別々に分析した例がない。ただ、アモルファス凝集体に関しては構造の不安定化が形成のきっかけであること、その形成を抑制することでDNA結合能を回復できることを見出している。アミロイド凝集体についてはどのように形成するのか構造生物学的な知見がないため、化合物スクリーニングに先立ちp53アミロイドの構造を解析することで、p53アミロイドの形成メカニズムを解明する。 本年度はアモルファス凝集・アミロイド凝集を抑制する化合物のスクリーニングの予備検討を踏まえ、いずれも抑制する化合物をいくつか発見し、それらの化合物がp53へ与える影響について試験管系だけでなく培養がん細胞においても評価を進めた。さらに、p53のアミロイド凝集体の構造生物学的な解析としては、p53のアミロイド凝集誘導化合物を用いた15N標識p53の1H-15N HSQCスペクトルをベースにしたNMR滴定実験を解析することによって、アミロイド誘導化合物がp53のモノマーにどのように作用しているのかを考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究中断期間が発生し2023年度は研究実施可能期間が2ヶ月弱となってしまったため、研究計画を変更し研究期間を1年延長する手続きを行なった。 ただ、研究実施可能期間であった2ヶ月弱においては研究を進行させ、予備的スクリーニング実験にて凝集抑制化合物として同定された化合物の評価や、p53アミロイド凝集体形成におけるNMR解析を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間が2023年度から2025年度であったが、研究中断期間が2023年度に約1年あったため、当初の計画自体は大きくは変更せずアミロイド凝集体のクライオ電子顕微鏡構造解析や化合物スクリーニングについて研究実施時期を全て1年ずつずらして実施する。
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Causes of Carryover |
産休・育休のため研究中断期間が発生し2023年度は研究実施可能期間が2ヶ月弱となってしまったため、次年度使用額が生じた。なお研究計画の変更届はすでに提出し、受理されている。 当初の計画自体は大きくは変更せず研究実施時期を全て1年ずつずらして実施する。
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