2023 Fiscal Year Research-status Report
難治性てんかんに対する温度感受性TRPA1チャネルの有効性と病態制御基盤の解明
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23K14356
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
森山 博史 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (40816633)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | てんかん / TRPA1作動薬 / 細胞外グルタミン酸濃度 / 脳波 / てんかん発作 / マウス / てんかん誘発剤 / ペニシリンGカリウム |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】研究初年度は薬剤の作用点であるTRPA1受容体が活性化することで抗てんかん作用を示すか,てんかんモデルマウスを用いて検討した.また,TRPA1受容体活性化による抗てんかんの効果がてんかん発作の原因物質のひとつであるグルタミン酸の細胞外濃度に起因するか検討した. 【研究方法】本研究では吸入麻酔下,マウスの左脳(大脳皮質)にてんかん誘発剤を注入し,てんかん焦点を作製した.てんかん誘発剤は抑制性の細胞を不活性化するペニシリンGカリウムを使用した.TRPA1受容体活性化剤であるアリルイソチオシアネートをてんかん誘発剤よりも前に注入し,その効果を調べた(陽性対照群).TRPA1受容体活性化剤の効果を調べるためにTRPA1受容体活性化剤の代わりに溶媒をてんかん誘発剤よりも前に注入する群(陰性対照群)を作製し,2群間比較を実施した.薬効評価項目は①麻酔時のてんかん様異常脳波強度・②麻酔時の細胞外グルタミン酸濃度・③覚醒時のてんかん発作強度とした. 【結果】陰性対照群では,てんかん誘発剤注入後にてんかん様異常脳波の強度および細胞外グルタミン酸濃度が上昇し,覚醒時のてんかん発作強度が上昇した.一方,陽性対照群ではてんかん誘発剤によるてんかん様異常脳波の強度,細胞外グルタミン酸濃度の上昇,覚醒時のてんかん発作強度が軽減された.また,TRPA1受容体活性化剤前投与による細胞外グルタミン酸濃度の上昇軽減率とてんかん様異常脳波強度およびてんかん発作強度の軽減率は正の相関を示した. 【本研究の意義・重要性】本研究の成果から,TRPA1受容体活性化剤は抗てんかん様の作用を示し,その作用機序は細胞外グルタミン酸濃度の調整であることがわかった.この作用機序は既存の抗てんかん薬とは異なるため,新規作用機序に基づく抗てんかん薬の開発につながる可能性があると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画当初に予定していたTRPA1チャネル作動薬による抗てんかん作用機序を解明できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
てんかんモデルマウスを用いて得られた研究成果が細胞単位でも成立するか電気生理学的手法を用いて検討する.
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Causes of Carryover |
当初予定していた研究計画より小規模で研究成果を得ることができたため,次年度使用額が生じた.当該助成金は研究初年度に得られた成果を公表する費用(英文校正費・論文掲載料)および次年度の物品費に使用する計画である.
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