2023 Fiscal Year Research-status Report
血液脳関門ABC排出輸送体制御による多形性膠芽腫への薬物送達戦略構築と有望性実証
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23K14381
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
手賀 悠真 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (50809043)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 多形性膠芽腫 / 血液脳関門 / トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
多形性膠芽腫(GBM)は予後不良の悪性脳腫瘍の1つであり、その化学療法では抗がん薬の脳移行性が重要となる。一方で、多くの抗がん薬の脳移行性は血液脳関門(BBB)に発現するABCトランスポーターによって制限されている。GBMへ抗がん薬を効率良く送達するためには、BBBに発現するABCトランスポーターに対してGBMが与える影響を理解した上で、それらトランスポーターを克服する必要がある。そこで本研究は、GBMによるBBBのABCトランスポーター機能発現変化及びその制御メカニズムを明らかにすることを目的とした。1年目は、GBM細胞とヒトBBBモデル細胞である不死化ヒト脳毛細血管内皮細胞株との共培養系を構築した。本培養系を用いて細胞の共培養期間を検討するとともに、不死化ヒト脳毛細血管内皮細胞株におけるABCトランスポーターの発現を解析した。その結果、長時間共培養した不死化ヒト脳毛細血管内皮細胞株のABCトランスポーターmRNA発現は、単独培養した細胞のものと比較して有意に上昇することが示された。本結果から、GBMは薬物排出に重要なBBBのABCトランスポーター発現を変化させることが示唆された。さらに、ABCトランスポーター上方制御のメカニズムを明らかにするため、トランスポーターの発現調節に関与することが知られているシグナル分子の発現も解析したところ、その発現上昇が確認された。以上から、GBMは、BBB細胞におけるシグナル経路の活性化を介してABCトランスポーター発現を制御する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
In vitro共培養系構築にあたって条件検討に想定以上の時間がかかってしまったため、in vivo解析での検討が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、GBMがBBBのトランスポーター発現・機能に与える影響についてGBM細胞移植マウスを用いたin vivoおよびex vivo解析によって精査していく予定である。
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